あなたは、なぜ読んでも忘れてしまうのか?
忘れてしまう読み方をしていませんか?
1冊の本には、多くの情報や役立つ知識が詰まっています。ところが、せっかく読んでも、数日後には内容をほとんど説明できない人が少なくありません。
知識を得るために実用書やビジネス書を読むのであれば、読み終えただけでは十分ではありません。必要なときに思い出し、使える状態になってこそ、その知識が身についたといえます。
本を読んでも忘れてしまうのは、記憶力が悪いからとは限りません。内容が残りにくい読み方を、知らないうちに続けている可能性があります。
では、なぜ私たちは、本を読んでも忘れてしまうのでしょうか。
文字を追うだけでは、知識は身につかない
本を読んでも内容が残らない原因の一つは、文字を目で追うだけの読書になっていることです。ページは進んでいても、内容についてほとんど頭に入っておらず、考えるまでにいたっていないことがあります。
もちろん、普通に読むだけでも文章の意味は理解できます。読みながら考えたり、すでに知っていることと結びつけたりしなければ、後から内容を思い出すのは難しくなります。
記憶に残すには、著者の主張を予想し、疑問を持ち、自分の言葉で言い換えながら読む必要があります。ただ文字を追うのではなく、内容について考えながら読むことが大切です。
15分を目安に、読んだ内容を振り返る
人間の集中力は、長時間同じ状態で続くものではありません。15分ほど読み続けると、注意がそれたり、内容が頭に入りにくくなったりする人が多いといわれています。
そこで、15分を一つの目安として、いったん読書を区切ってみましょう。本を閉じて、ここまでに何が書かれていたのかを振り返ります。
- 最も重要な主張は何か
- 自分は何を理解したか
- 著者は何を伝えようとしているのか
こうした問いを自分に投げかけ、読んだ内容を思い出してみてください。その後、3〜4分ほど休憩を入れれば、集中力が回復してまた本の内容に入り込むことができます。
大切なこととして、休憩中は別の文章を読んだり、スマートフォンを見続けたりするのではなく、目と頭を休めましょう。席を立つ、遠くを見る、軽く体を動かしてストレッチなどをするといった過ごし方がよいでしょう。
同じ行を何度も読んでいる、直前の内容を説明できない、ページだけが進んでいる。そう感じたときは、15分が経過していなくても、いったん読むのを止めた方がよいでしょう。
理解できていないまま読み続けても、読書時間に比例して知識が身につくわけではありません。
小説では、物語への没入を優先する
ただし、15分ごとに区切る方法が、すべての本に適しているわけではありません。小説のような物語に入り込んでいるときは、休憩がかえって集中を妨げることがあります。
登場人物の感情や物語の流れを味わう読書では、無理に時間で区切る必要はありません。章の終わりや場面が切り替わるところなど、流れを妨げない場所で休憩するのが良い気もします。
しかし、先を読みたいという気持ちは止められないので、そのまま没入して気がそれたときに、軽く目を休ませたり、ストレッチをしてみてください。
知識を得るための実用書は短く区切って振り返り、小説は物語への没入を優先する。読書の目的や本の種類に合わせて、読み方を変えていきましょう。
読み終えることを目的にしてはいけない
本は、必ず最初から最後まで読む必要があるとは限りません。実用書やビジネス書では、まず目次を見て、自分が知りたいことが書かれている章を探す方が効率的です。
- この本は何を説明しようとしているのか
- 自分の疑問に答える章はどこか
- どの部分が自分に役立ちそうか
こうした問いを作ってから読むことで、本文のどこに注意すべきかが明確になります。読む前に内容を予想することも、考えながら読むきっかけになります。
途中まで読んで、自分の目的に合わないと分かった本を、無理に最後まで読む必要もありません。全体を大まかに確認し、自分に必要な部分を選んで読む方法もあります。
歴史書や思想書、専門書のように、著者の論理を順番に追う必要がある本もあります。途中だけを抜き出すと、主張を支える前提や根拠を見落とすかもしれません。
最初から読むのか、必要な部分を選んで読むのか。本の種類と読書の目的によって、読み方を使い分けましょう。
読んだ後に思い出さなければ、忘れていく
一冊を読み終えた後、内容を振り返らずに次の本へ進むと、前の本を思い出す機会がありません。読んだ直後には覚えていても、思い出さなければ記憶は少しずつ薄れていきます。
本を閉じた後に、この章で最も重要だったことは何か、著者はどのような根拠を示していたか、自分は何に納得し、何に疑問を持ったかを考えてみてください。
うまく思い出せなかったとしても、すぐに本を開いて答えを探してはいけません。まずは、自分の頭だけで思い出そうとすることが大切です。
その後で本を開き、思い出せなかった部分や、理解が曖昧だった部分を確認します。本を繰り返し眺めるだけでなく、自分の頭から内容を取り出そうとすることが、記憶を定着させることになります。
読んだ内容を、自分の言葉で説明する
読んだ内容を覚えているかどうかは、自分の言葉で説明してみると分かります。本に書かれていた言葉を、そのまま繰り返す必要はありません。
- つまり、これはどういうことなのか
- 自分の経験に当てはめると、どのような例になるか
- 誰かに説明するなら、どのように話すか
こうした問いに答えようとすると、自分が本当に理解している部分と、曖昧なまま読んでいた部分が見えてきます。
うまく説明できない場所は、まだ十分に理解できていない可能性があります。その部分を読み直し、もう一度自分の言葉でまとめることで、知識は少しずつ自分のものになっていきます。
読み方以前に、本選びでつまずいていないか
内容が残らない原因は、読み方だけではありません。自分の目的や、現在の知識に合わない本を選んでいる可能性もあります。
前提知識が不足したまま難しい本を読むと、個々の言葉を理解するだけで精いっぱいになり、全体の論理をつかめません。反対に、知っている内容ばかりの本では、新しい発見が少なく、注意も続きにくくなります。
大切なのは、難しい本を避けることではありません。今の自分が理解できる本から読み始め、必要な知識を得ながら、少しずつ難しい本へ進むことです。
- この本から何を知りたいのか
- 今の自分に理解できる内容か
- 読んだ知識を何に使いたいのか
本を選ぶ前に、この三つを確認して、目的と知識水準に合った本を選ぶことが、記憶に残る読書の出発点になります。
読んだ内容を忘れにくくする実践方法
ここまでの内容を、実際の読書に取り入れる方法は難しくありません。すべてを一度に実行する必要はなく、まずは一つか二つから始めれば十分です。
- 読む前に、目次を見て知りたいことを決める
- 15分を目安に、本を閉じて内容を思い出す
- 3〜4分ほど休憩して、目と頭を休める
- 読んだ内容を、自分の言葉で説明する
- 翌日、もう一度何を覚えているか思い出す
重要なのは、何度も文章を読み直すことではありません。本を見ない状態で、どこまで思い出せるかを確認することです。
翌日に内容を思い出せなかったとしても、失敗ではありません。思い出そうとした後で本を確認することで、理解の曖昧な部分が分かり、次に読む場所も明確になります。
小説は、こんなことも考えずに没入して読んでください。
年を取ると徹夜してまで読みたいという作品も厳しくなってきます。
読書の目的は、すべてを暗記することではない
読んだ本の内容を、最初から最後まで暗記する必要はありません。重要なことは、本の中心となる考えを理解し、自分に必要な情報を選び、後から他の情報と結びつけることです。
読んだ内容を思い出し、自分の言葉で説明し、仕事や生活の中で実際に使う。本から得た知識が自分のものになったといえます。
読み終えた冊数だけを増やしても、内容を思い出せなければ、得られるものは限られます。少ない冊数でも、重要な考えを理解して使える方が、読書の成果は大きくなります。
読書で重要なのは、何冊読み終えたかではありません。
読んだ本から何を受け取り、それをどのように使えるようになったかです。





