犬のアイタローは経済の歴史を勉強して流れ流れて江戸時代へ、そこで出会ったヒデとともに寺子屋の大福塾の元で戦国時代から江戸時代にかけての勉強をすることになるのだが・・

この漫画は江戸時代ごろの経済を勉強できるのだけど一緒に寺子屋で勉強する子供たちのチョイスがよい。一緒に勉強する子供は武士の子供と農民の子供で、商人の子供ではないのが重要だとおもう。

ということで、『江戸時代の経済入門!その壱』の話です

 

江戸時代の経済といえば大阪の米相場や井原西鶴『日本永代蔵』とよばれる経済書がありますが、そこではなく戦国時代から江戸時代にかけてなぜ大名たちがお金を持っていたのか?経済におけるヨーロッパの関係を面白い掛け合いのように描いてあります。経済を制する国は世界を制すとまでは言いませんが信長や武田信玄、上杉謙信と強い戦国大名には訳があることを学校で習った歴史とは違う視点から考える機会をくれるます。

寺子屋で教えているのかと思えばいきなり幽霊のフランシスコ・ザビエルが出てきてヨーロッパからの日本の付近の経済の流れや新大陸で見つかった銀山から始まるアジア、大西洋、太平洋をまたがる貿易圏が生んだ投資ブームによる投銀(なげがね)等々、教科書では教えてくれない戦国時代と江戸時代の経済漫画、内容は全体的にディープではないがマイルドでもないけれども読みやすく49ページとそこまでページも多くないので軽く読めます。

読めば何となくわかった気にはなれる良い漫画です。その壱なので次巻を楽しみに待つことにいたしましょう。

 

蛇足

江戸時代が始まって100年以上という時代、江戸時代260年を考えるとまだまだ折り返し地点ではないけれども、多くの規則ができ戦国時代から江戸時代の初期のようなお金が無くなっていく下級武士たち、徳川吉宗によって年貢が不作でも豊作でも決まった額を払うようになった定免法(じょうめんほう)が行われるようになると本来禁止の農地の売買が行われるようになり、農民たちも強い経済感覚を身に着けていく時代でした。

昔の時代だから経済感覚が今よりも劣っていると思われがちですが、江戸時代は民がもっとも経済感覚に優れた時代かもしれません。多くの人が自営業で金を稼ぎ自分で商売をしていた時代だからこそサラリーマンとしてただ決められた時代の仕事をすればお金がもらえるという意識ではなく、懸命に生きるために全財産を富くじを買ったり、娘を吉原に沈めた金で商売を始めたりと強烈な時代だったのではないでしょうか。

そんな時代だからこそ、懸命に金を稼いだ人たちによって行われていた経済の話が面白くないわけがない!!