「インド人と結婚した漫画家の話」と聞くと、カレーや文化の違いに戸惑う異文化交流コメディを想像する人が多いでしょう。

しかし、この『インド夫婦茶碗』を一言で表すならこうなります。

「インド人と結婚!! そして始まる怒涛の子育てレポート」

旦那さんがインド人であることによる食生活の違いなどは全体の5分の1程度。
残りの大半は、国境関係なく襲いかかってくる「出産の恐怖」「育児の混沌」を描いた、ハイテンションな実録エッセイなのです。

流水りんこ インド夫婦茶碗 第1巻 表紙

インド夫婦茶碗(1)

  • 作者:流水りんこ
  • 出版社:ぶんか社
  • ジャンル:実録エッセイ・育児

あらすじ

インド人・サッシーと結婚した漫画家・流水りんこ。
異国の地・ニッポンで生活をはじめたサッシーとの夫婦生活は、戸惑いと爆笑の連続!
出産&育児に国境の壁はあるのか!? アットホームで笑える国際結婚異色ルポ!

(Amazonより引用)

感想:勢いで読ませる「インド親子茶碗」

インドと日本の文化の差を楽しむ漫画として購入したのですが、目次をよく見ると『インド夫婦茶碗』なのは3話まで。
それ以降は『インド親子茶碗』というタイトルに変わっていることに、読み始めてから気づきました(笑)。

「めんどくさい」から始まった結婚

漫画は、作者である流水りんこさんが、インド人のサッシーと結婚するところから始まります。

その理由が振るっています。
サッシーから1年間、毎日のように国際電話で「結婚して」と言われ続け、「断るのがめんどくさくなったから」

変わり者夫婦だな……という感想しか持てませんが、この「細かいことは気にしない」というスタンスが、この後の怒涛の展開を支えています。
結婚から日本での生活開始までを、ものすごいダイジェストとテンポで描き切る作者の構成力は見事です。

綺麗事ゼロの出産・育児レポート

本作のメインは、子供(アシタ・リムズ)の出産と育児の話です。

文字が多い漫画ではあるのですが、次へ次へと読み飛ばしていけるテンポの良さがあります。
そして何より、「描写がリアルで面白い」のです。

  • つわりの苦しさ
  • 破水の手順を知っていても、いざとなるとパニックになる現実
  • 生まれた子供を見て「感動」するわけではなく、羊水でシワシワな姿に驚く母親
  • 生命の神秘を語る看護師を「美人」に描き、自分はホラータッチで描く対比

特に、生まれたばかりの赤ちゃんの描写や、風邪を引いた赤ちゃんの鼻水をどうやって吸い出すか悩むシーンなどは、男性や未経験者には想像もつかない世界です。
旦那が育児を手伝わないことに怒りつつ、赤ちゃんの泣き顔を楽しむ余裕も描かれており、育児の「大変さ」と「面白さ」が同居しています。

まとめ:教科書より役に立つかも?

出産や子育てをここまでコミカルに、かつリアルに描いている作品は貴重です。
正直なところ、小学生や中学生の保健体育の授業で、文字ばかりの教科書を読むよりも、「この漫画を読ませたほうが結婚や出産の実態が伝わるのでは?」と本気で思ってしまいました。文部科学省さん、いかがでしょうか?

出産も育児も日本での話なので、日本人夫婦と劇的な違いはありません。
しかし、流水りんこ先生の「面白く描く力」が凄まじいので、育児漫画としても、異文化コメディとしても楽しめる一冊です。