トールを連れ戻すという使命はどうした。
気づけば立派な「社畜」と化した、食いしん坊ドラゴンのOLライフ。

今回紹介するのは、クール教信者先生原作の大人気作『小林さんちのメイドラゴン』のスピンオフコミック。
カザマアヤミ先生が描く、『エルマのOL日記』だ。

基本食べてばかり、そしてIT企業のデスマーチに巻き込まれてばかり。
まだ人間界に慣れていないドラゴン・エルマの、ポンコツで愛らしい日常がここにある。

小林さんちのメイドラゴン エルマのOL日記 : 1

作品情報

タイトル 小林さんちのメイドラゴン エルマのOL日記(1)
原作 クール教信者
漫画 カザマアヤミ
出版社 双葉社
ジャンル 日常 / コメディ / お仕事

感想:スピンオフとしての「再現度」が高い

スピンオフ作品を読むとき、どうしても気になってしまうのが「原作との絵や雰囲気の違い」だ。
しかし本作に関しては、その心配は無用である。

『カンナの日常』もそうだが、原作の雰囲気をしっかりと残している。
絵柄の違和感やキャラクターのブレを感じることなく、最後まで面白く読むことができた。
作画のカザマアヤミ先生の技量と、原作へのリスペクトを感じる。

「グルメ漫画」ではない、絶妙なバランス

エルマといえば食いしん坊。
実際、1話の3分の1くらいはエルマが何かを食べている。

しかし、単なる「グルメ漫画」にはなっていないのが良い。
あくまで「日常を描いたギャグ」であり、その中に食事が自然に組み込まれている。
この「グルメに寄りすぎないバランス感覚」が、原作の空気を保っている要因だろう。

社畜ドラゴン、爆誕

物語は、小林さんが勤めるIT企業(ブラック寄り)で、エルマが新卒社会人のごとく奮闘する姿を描く。

ブラインドタッチを覚え、会社のゴミ集めをし、合コンや慰安旅行に参加する。
そして、IT名物「地獄のデスマーチ」を体験し、社会人として大きな成長(?)を遂げていく。

……いや待て、エルマ。
君の目的はトールを連れ戻すことじゃなかったか?

本来の目的を完全に忘れ、人間の生活を満喫している。
デスマーチすら攻略した彼女なら、小林さんの跡を継ぎ、立派な「社畜戦士」に成長するはずだ。
頑張れエルマ、日本のGDPのために。

【考察】その靴下はダサくないか?

最後に一つだけ、どうしても突っ込みたいことがある。
エルマの靴下のセンスについてだ。

元の姿(ドラゴン)の包帯を巻いているデザインに合わせて、あのようなボーダー柄?の靴下を履いているのだろうか?
わざとなような気もするが、正直に言わせてもらうと「ダサい」と思う。

これが「あえて」の狙いなのか、私のファッションセンスがないだけなのか。
この謎だけが、読了後も心に残った。

まとめ

1話ごとにクスッと笑える瞬間があり、最後にエルマの天然ボケで落とす。
大きな爆笑というよりは、現代社会に疲れた自分にはちょうどいい「癒やし」の作品だ。

原作ファンはもちろん、美味しいものを食べて働く「ちょろゴン」を見たい人におすすめしたい。