ガチの催眠術、力技な手品、謎のオカルト。
逃げ出そうとした大祐が迷い込んだのは、そんな「ふしぎ」な部活だった。

今回紹介するのは、『侵略!イカ娘』でおなじみの安部真弘先生の新作、『あつまれ!ふしぎ研究部』だ。
生来のお人よし主人公が、変な女子3人に振り回されるドタバタ部活コメディ。

前作では封印されていた「ラッキースケベ」要素も解禁され、より幅広い層に向けた作品に仕上がっている。

あつまれ!ふしぎ研究部 第1巻
あつまれ!ふしぎ研究部 第1巻

作品情報

タイトル あつまれ!ふしぎ研究部 第1巻
著者 安部 真弘
出版社 秋田書店
ジャンル ドタバタコメディ / 学園 / 部活
あらすじ 廃部寸前の「ふしぎ研究部」。
存続のためにはあと1人の部員が必要だった。
そこへ、倉庫と間違えてやってきたのが、見るからに人の良さそうな五領大祐。
彼は3人の女子に丸め込まれ、なし崩し的に入部することになる。

感想:誰でも笑える安心の1話完結

本作は、オカルト、手品、催眠術という「ふしぎ」な要素を使ってドタバタする学園コメディだ。

最大の特徴は、「どの話から読んでも楽しめる」という点にある。
基本的には1話完結型で、学園内での出来事は積み重なっていくものの、途中から読んでも全く問題ない作りになっている。

ガチの催眠術、なんちゃって手品、不思議なオカルト。
これらに振り回される大祐の「人の良さ」が見どころだ。

キャラの役割分担が明確

ヒロインたちのキャラクター性も分かりやすい。
例えば、お色気シーン一つとっても役割分担がされている。

  • ことね(催眠術):ラッキースケベ担当(不可抗力)
  • 高浜麗子(風紀委員):妄想担当(自爆)

千晶(手品)などがバックドロップをするシーンなど、きわどいアングルはあるものの、下着が見えそうで見えない絶妙なカメラワークが光る。
前作『イカ娘』では出来なかったお色気要素を丁寧に描いており、いやらしさよりも健全なコメディとして成立させているのはさすがだ。

考察1:『イカ娘』との違いとターゲット層

『侵略!イカ娘』が全22巻、アニメ化もされる大ヒットだったため、作者自身も今作へのハードルは高かったはずだ。

『イカ娘』は海の家が舞台で水着キャラは多かったが、エッチな展開は皆無だった。
対して今作は、学園もの、お色気、男主人公という、『イカ娘』ではあえて避けていた王道要素を詰め込んでいる。
舞台が「山の中」という設定なのも、海とは違う場所を目指すという意思表示だろう。

考察2:なぜ「説明台詞」が多いのか?

読み返してみると、この漫画は意外と「会話(説明)」が多いことに気づく。
通常、説明台詞が多いとコメディのテンポは死んでしまうのだが、本作ではそれを感じさせない。
なぜか?

子供や「漫画初心者」への配慮

例えば第8話。懐中電灯が切れてコマが真っ暗になるシーン。
ここにわざわざ「あ 懐中電灯切れた」という台詞が入る。

漫画を読み慣れている人なら、背景が黒くなれば「電気が消えた」と瞬時に理解できる。
しかし、普段漫画を読まない人や小さな子供は、「なんで急に黒くなったの?」と疑問に思い、読み飛ばしてしまう可能性がある。

作者は、そうした層がつまずかないように、あえて丁寧すぎるほどの説明を入れているのだ。
すべての漢字にルビが振られていることからも、ターゲット層をかなり広く(低年齢層まで)設定していることがわかる。

絵の力が説明を補完する

一方で、文字を読まずに絵だけを追っても内容が理解できる。
これは作者の画力が高い証拠だ。
ページをペラペラとめくるだけでも、「何が起きているか」がなんとなく分かるように設計されている。

「漫画読み」には違和感がないギリギリのラインで説明を入れつつ、「漫画初心者」も脱落させない。
この二重の構造こそが、長期連載を狙うプロの技術なのだろう。

まとめ

『あつまれ!ふしぎ研究部』は、ただのドタバタコメディに見えて、実は非常に計算された「読みやすさ」で構成されている。
疲れた時に頭を空っぽにして笑いたいなら、これ以上の漫画はない。