涼川りんさんのとてもケイオスな漫画りとる・けいおす

作者が無駄に凄まじい画力で絵の描き分けをするために、可愛かったりおバカだったり、無表情だっありとキャラの表情の演技がとても強い漫画である。

一言いえば、

作者の画力ごまかされないでこの漫画はシュール

でしょうか。

いや~、正直ビックリする位シュールなんですよ。

タイトルの『りとる・けいおす』のケイオスはカオスとおなじ意味で意味としては「無秩序」「混沌」という意味になるのですが、確かに漫画を読んでも混沌ですよ。

タイトルに納得の作品です。読んでみると桜場コハル先生の『今日の5の2』という小学生が主人公のコメディ漫画にシュールな要素をこれでもかと振りかけた感じの作品といえばいいかもしれません。

1巻と2巻の『りとる・けいおす』の表紙を見ると作者の遊び心なのか、それとも迷走しているのかに悩んでしまうほどの画力が見られます。

(※今描かれている『あそびあそばせ』では2巻とおなじ方式で採用しているので表紙と中身のインパクトを重視したのかもしれませんね。)

りとる・けいおす 第1巻

りとるけいおす01

 

 

りとる・けいおす 第2巻

 

【漫画家】涼川りん
【ジャンル】シュールギャグ
【出版社】双葉社(アクションコミックス)

転校してくる主人公の一人のゆずちゃん、一見すると普通に見えるのだけれども背負っているモノは風呂敷袋をせよってるんだよ。

流し読むするとあまり気にしないかもしれにけど、おかしいでしょ。

私服の通学できるような小学校で風呂敷とか、そんな小学生いないから世間には!

それに小学生が転校してきたら間違いなく転校生に色々聞きに集まってくるんですよね。

外見が普通でも2,3日ぐらいは人気者ですよ。

自分も小学生で3回転校してるから記憶にあるわ。

て、お昼休みまで誰も声かけないんだよ。転校初日からハブられるてどんな扱いなんですか。

おかしくないすか?

小学生なのにどんだけ人に興味がないクラスメートばかりなんだよ!!

と思うでしょ。普通は

まぁ、それでも2人声を掛けてくれるわけですよ。

「お昼・・・、一緒に食べよ?」

て、声を掛けてくれるのですが、目が怖い

 

作者ーー!!

 

なんで、登場した瞬間からこんな目で描いた!!と思うほど目がダークに染まってる。

いやいやいや、お昼食べよと言ってはいるけど相手を観察するような眼で話しかけるのおかしくない。

話しかけて来たキャラ全体に無駄に影かけてるから余計に怖いから。

それでも、初めて声をかけてもらえたので一緒に食べようと答えると

「いきなり勝った!!負けた!!」と叫ぶわけですよ。

訳が分からないでしょ。2人して転校生がどう返事するかを掛けていたわけで、負けたほうは罰ゲームを行うことになって、勝ったほうは”ゆずちゃん”の座っているイスの半分に座りだすという無駄なまでにフレンドリーになるわけなんですよ。

この2人が残りの主人公という扱いなんだけど、
勝ったのが”あきこちゃん”
負けたのが”うきっぺ”

で、負けた”うきっぺ”が罰ゲームとして手品をしようとリンゴを取り出して種もしかけもないリンゴがありますといってリンゴを取り出して手品をしようとすると”あきこちゃん”が疑ってリンゴを齧ると乳歯が折れるという展開。

元凶であるうきっぺは心配するでもなく。齧られたリンゴを見て「よく見たら種はありました」と言いながら齧られたリンゴを見せて「おしまい」とオチをつけてたら

おいそれでおわるのかい!と思うと、歯が折れて罰ゲームを受けたみたいになっているあきこちゃんは納得するという不思議な状況。

この手品のシーンをよく見るとうきっぺがリンゴを出すときに手をハンカチで隠してそこからリンゴを出してるんで、もうこの瞬間から手品終わってるというとても分かりづらいネタになってるんだよ。

3人でお昼を食べてるとあきちゃんがゆずちゃんに「今日の宿題やってきた?」と聞いてくるわけです。

もちろん、今日転校してきた子が宿題をやっているわけがない。

まぁ、こう聞いてくるてことは宿題をやってないわけで、どう先生に怒られないようにしようかという話になるわけですよ。

そこで出てくるのが謝るとか今から頑張ってやるとかじゃなくて、賄賂を渡そうと話になるんだけどお金がないからどうするかという話でお金は身体を使って汗水たらして稼ぐものだとまっとうなことを言い出すのだけど。

いやいや、まっとうなんだけど小学生が言い出すことではないから!!

あきこちゃんが出した結論が臓器を売ろうという結論をだすわけ、もちろんうきっぺは「腎臓は1つ減っても大丈夫みたいです」と背中を押すようなことを言い出すんだ。

おかしいよね。小学生が語る言葉にしては少々おもすぎでしょ。

宿題も感想文を書くことで、課題本は”こぶとりじいさん”

いやいや、読めよ。読んだほうが臓器売るより早いから読みたくないから本の前で一晩中瞑想してたとか意味が分からんわ!!

そこで、見かねたゆずちゃんが代わりに書いてあげるよと言ってしまうんですよ。

言った後に折角できた友達になんてことをと心の葛藤もしているゆずちゃんはじつにいい子ですよ。

それにくらべて・・・

そのセリフを聞いたら目がハートマークになって待ってましたとばかりに「最初からねらってたんだぁ!」という始末ですよ。

1話にしてバカキャラ丸出しだったあきこちゃんの最後に見せるこずるいがいい味だした小物感

1話にして3人のキャラをしっかりと紹介しながらも全体的にシュールなんだよね。

残念なのでは、作品の良さの1000分の1も表現できない自分ですよ。

絵にするとに分かるシュールなギャグとキャラの表情の可愛さと変化は作者スゲー!!

という言葉しか出てきませんよ。

 

ここまで1話の話の流れを語ったけれども、1巻の一番好きだったシーンは第2話でうきっぺが馬になるシーンのうきっぺの”ふくらはぎの筋肉”と”くるぶしより下”の箇所を小さく描くことで馬になっていることを納得させるだけの画力を見せつけているところは無駄に凄いから好きだ。

 

2巻は1巻以上にきついネタが投入されているのでどの話も面白いですが、自分の中では30話の3段論法の「ゆえに人は豚である」と34話の二人の兄弟の日常に潜む異常性がおすすめ。

 

作品は2巻で完結しており、面白いネタをやるだけやって引き延ばしていないので、どの話も納得できる面白さ、出てくるすべてのキャラが無駄に個性的な発言で忘れられなくなりますよ。

作者の頑張りで同じシーンでもキャラごとに線の違うタッチで描かれる顔の表情、いやいやいやとツッコミをいれたくなるシュールなギャグ、ケイオスと名前がに負けない良い作品。