アニメ化もしたギャグ漫画家とイラストレーターのコラボ漫画で全6巻、5人の落語家の女の子が楽屋でうだうだと話している日常系に属す漫画、何も考えずに読める漫画なので疲れた時になんとなく読むのにはおすすめです。
作品としてアニメ化もしており監督はガルパンで有名な水島努さん、原作を考慮した作品ならも1話に東京の街をぶらりと5人が歩き回るという話を差し込んでいてかなり頑張っているので漫画を読む気がない人でもアニメだけでも見てほしい。
コミックの1話目の前の見出しで『蕪羅亭 魔梨威(ぶらてい まりい)』がお辞儀をしながらも目は読者をまっすぐ見ている絵。
こちらを見ている眼は左少しだけ上がっており、彼女の左目が利き目なのか前に突き出るような力強さとともに左手も少しだけ前におかれることでぐっと左から前に出てくると思わせる錯覚を感じさせられるさすがはイラストレーターであるヤスさん。
内容は原作者である久米田さんが落語にそれほど詳しくないために楽屋話をする日常系漫画、「この漫画は女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく漫画です。」という口上が初めのころには書かれている。
落語漫画にしようとした形跡としては話の初めに「おあとがよろしいようで」という高座から降りる場面から、楽屋裏のシーンに切り替わり延々と日常系のネタが繰り広げられる作品で基本的にワンシチュエーションで完結している。
内容は当たり障りのないものが多いが、久米田さんの面白さがヤスさんのかわいい絵だけでは隠しきれず、段々とキャラクター性が肉付けされ話が進むほどキャラクターの魅力的になり、無茶苦茶なことを当たり前にキャラが演じるようになるのを読んでいても受け入れるようになるのが、久米田さんのギャグのすごさと濃いさだ。
話は久米田さんがギャグマンガのスタイルである1つのテーマからネタを広げていくやり方ではあるが、あまり下ネタは抑えられてはいるが、女の子の可愛さを大切にするきはあまり感じられない。
それでもヤスさんの女の子の見せ方がとてもうまいので良いバランスを保っている気がする。
【登場人物】
・蕪羅亭 魔梨威(ぶらてい まりい)
・空琉美遊亭 丸京(くうるびゆうてい がんきょう)
・波浪浮亭 木胡桃(はろうきてい きぐるみ)
・防波亭 手寅(ぼうはてい てとら)
・暗落亭 苦来(あんらくてい くくる)
■ じょしらく 第1巻
1日目 犬と猫の災難(タイトルのネタは落語「猫の災難」と思われる。)
波浪浮亭 木胡桃(はろうきてい きぐるみ)が楽屋に入るなり、犬派?猫派?とほかの4人に聞くところから始まる。落語で犬猫の話をすると三味線の革のところに使われる動物として犬猫がいるようだ。
2日目 叫び指南(タイトルのネタは落語「あくび指南」と思われる。)
防波亭 手寅(ぼうはてい てとら)が落語を終えて、楽屋に入って海と山どちらが好きという話から始まる。話はなぜかいきなりどこで死ぬかとか山でアイスマンや海と山の掛け声に関する民度の話へと流れていき、最後には政治ネタという女の子のかわいさを楽しむための漫画が際どい久米田康治節が2話にして漏れて来る。
毎回、出だしで登場人物の顔と名前を紹介するために落語を終えたところから始めることで普通には読めない名前の文字と顔を見せている。
3日目 楽屋の富 (タイトルのネタは落語「宿屋の富」と思われる。)
蕪羅亭 魔梨威(ぶらてい まりい)が楽屋に入って「つまんねー事聞くなよ」とお決まりのセリフから始まるが、まだ誰も何もう言ってないという小ネタとともにタイトルの富(江戸時代の宝くじ)にかけて宝くじがあたったらどうするという夢のあるようなない話をしたあとに、なぜか宝くじに5人の中に当たった人がいると疑心暗鬼になり疑うが宝くじに当たらなくてもしそうなお金の使い方ばかりなところが当たった人がいなさそうなことが伺える。
宝くじが当たったら
・蕪羅亭 魔梨威 答えてないが貯金とおもわれる
・防波亭 手寅 真犯人を見つけ出す
・暗落亭 苦来 行方不明の母を探す
・空琉美遊亭 丸京 借金を返す
・波浪浮亭 木胡桃 大好きなヨーグレットで家をたてる(期待されたのための答え)
この話で「この漫画は女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく漫画です。」が描かれなくなる。
4日目 風邪娘(タイトルのネタは落語「風邪うどん」と思われる。)
空琉美遊亭 丸京(くうるびゆうてい がんきょう)が楽屋に入ると他のみんながマスクをしているというプロレスの覆面をした5名がフゴフゴといっているというシュールな出だしで、新型インフルエンザから妊娠の話。
5日目 娘ほめ(タイトルのネタは落語「子ほめ」と思われる。)
暗落亭 苦来(あんらくてい くくる)が楽屋に入るなり、「私と落語どちらが大切なの」とカップルが言い出しそうな言葉に、いつものように魔梨威が威勢のいい言葉を言おうとしたとこところにかぶせ気味に苦来へのフォローと景気づけのためにクリスマス会の話に。
異教徒と扱いされているおばさんたちが学派に小太鼓みたいなものを叩きながら入ってくるけど、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』の宗教ネタはどれだわかるのか。
6日目 こがね袋(タイトルのネタは落語「堪忍袋」と思われる。)
正月ネタでこがね袋からお年玉のネタと、魔梨威が「あけましておめでとうございます」の「す」しか言わせてもらい事の残るものには福があるという落ちを仕込んでいる。
7日目 無情風呂(タイトルのネタは落語「浮世風呂」と思われる。)
バレンタインのネタ、みなが海老蔵と答える中で魔梨威はあげるんじゃなく貰うものだと自慢すると男ではないかという疑惑をもたれ、払しょくするために苦労する。あとは魔梨威の出身地が徳島であることが判明。
ところでやっぱりヤスさんはキャラキターの姿絵が上手。
8日目 ヤンキー怖い(タイトルのネタは落語「饅頭怖い」と思われる。)
3月の8日、ひな人形をしまい忘れていく遅れるという出だしから、ヤンキーは早婚だからヤンキーになるというなんともなんとも直滑降してるような話の展開にただただ驚く。
9日目 ねごと(タイトルのネタは落語「寝床」と思われる。)
魔梨威の座右の銘『果報は寝て待て』とうつらうつらと寝たり起きたりを繰り返し、寝ているときに言った寝言が実際に再現されるというお話、荘子が自分が胡蝶かわからなくなる話をネタにしているというよりもヨーロッパの竜の夢に近いネタ。