大祐が倉庫に入ると、そこでは「ふしぎ研究部」という謎の部活動が行われていた……。
催眠術、手品、オカルト。
怪しい女子3人から逃げようとしたが、気づいたら入部させられていた主人公。
今回紹介するのは、ちょっとエッチなハプニング満載の部活コメディ『あつまれ!ふしぎ研究部』だ。
一見すると可愛らしい萌え漫画の表紙だが、じっくり観察すると、そこには計算され尽くした「視線誘導」のテクニックが隠されていた。

作品情報
| タイトル | あつまれ!ふしぎ研究部 第1巻(全20巻) |
|---|---|
| 著者 | 安部 真弘 |
| 出版社 | 秋田書店 |
| ジャンル | ドタバタコメディ / 部活もの |
| 主な登場人物 | 五領大祐(1年):人の良い巻き込まれ主人公 二宮鈴(1年):オカルト研究担当。呪いの人形を愛でる 神田千晶(2年):手品担当。力技の失敗が多い 大原ことね(3年):催眠術担当。巨乳で白衣 |
表紙考察1:違和感のある「フォント」の正体
まず表紙を見て気づくのは、背景の白さに映える紫色のタイトルロゴだ。
よく見ると、左右でフォントが使い分けられていることに気づくだろうか。
「あつまれ!」と「ふしぎ研究部」。
このフォントの違和感がフックとなり、読者の視線は自然とタイトルで一度止まるように設計されている。
「ふしぎ研究部」の文字だけを強調し、「あつまれ!」は意識の外に置くような配置だ。
そして視線がタイトルを通過すると、『部』の文字が内側へ向いていることに誘導され、自然と表紙のメインキャラクターである「大原ことね」の顔へと視線が移るようになっている。
表紙考察2:計算された「視線誘導」のルート
この表紙の視線誘導は非常にスムーズだ。
- タイトル(左上):フォントの違和感で目を引く
- ことねの顔(中央):前かがみの姿勢で、顔が左に傾いている
- 胸元と手(右下):垂らした糸と5円玉へ視線が流れる
ことねの顔が不自然なほど大きく、少し左に傾いているのは、タイトルの『ふ』『研』の文字からの流れを受けるためだろう。
背景の「白」と白衣の「白」が繋がっているため、視線が途切れることなく、最終的に右下の作者名へと行き着く。
ちなみに、足元にある波線模様は、オカルトや超能力実験で使われる「ゼナー・カード」の波線だろうか。
シンプルながらも、要素を詰め込んだ巧みなデザインだ。
表紙考察3:なぜヒロインは「1人」なのか?
本作には3人のヒロインがおり、作中の扱いも基本的には平等だ。
しかし、記念すべき第1巻の表紙を飾っているのは「大原ことね」ただ1人である。
通常、キャラの集合絵にするか、メインヒロインを据えるのがセオリーだ。
「表紙の好みのキャラで買うかどうか決める」という読者層(ジャケ買い層)を考えると、タイプが違う3人を載せないのは機会損失のリスクもある。
それでも彼女単体にしたのは、やはり『巨乳』『催眠術』『白衣』という、コメディとしての「引き」が一番強いアイコンだったからだろうか。
この大胆な配置は、週刊連載ですでに固定ファンがついている作品ならではの「余裕」かもしれない。
余談:「5円玉の催眠術」は若者に通じるのか?
最後に一つだけ疑問が残る。
ことねが持っている糸の先にある、黄色の円盤状の物体。
これが「5円玉」であり、「催眠術の道具」であることを、今の若い読者は直感的に理解できるのだろうか?
「5円玉で催眠術」というのは、昭和や平成初期のテレビ番組で刷り込まれたイメージのような気がしてならない。
令和の高校生が見たら「なぜお金をぶら下げているの?」と不思議に思うのではないか……そんなジェネレーションギャップを少しだけ心配してしまった。
まとめ
作者の絵は、『カイジ』のような尖ったインパクトはないものの、コメディ向きの可愛らしさと安心感がある。
表紙のデザイン一つとっても、読者をスムーズに作品世界へ引き込む工夫が凝らされていることがわかった。
中身も気楽に読めるドタバタコメディなので、表紙の「催眠術」にかかったつもりで手に取ってみてはいかがだろうか。
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