お坊さんが読者からのキワドイ質問をどう答えるか!?

今ここに、仏教VS読者の問答が繰り広げられる!!

(※問答とは仏教の禅宗の門弟教育のひとつで弟子が質問し、師が答えること)

浄土真宗本願寺派のお坊さんであり作家の釈徹宗(しゃくてっしゅう)さんが京都新聞で二年三ヶ月間連載した「紙上問答」を第一部として、第二部では徹宗さんが檀家や門信徒の方とのやり取りをまとめたものです。

 

 

【タイトル】仏教ではこうか考える
【作者】 釈 徹宗

【出版社】 学研パブリッシング

 

紙上問答、紙と神を掛けたのでしょうか?

この疑問は棚上げしておくとして・・・

浄土真宗の本願寺派とありますが日本の仏教は多くの宗派に分かれています。宗派の中からさらに分類されるという謎の状況になっているのです。

とはいえ、読者にはそんなことは関係ありませんから釈徹宗さんは出来るだけ自分の宗教や宗派としての解答だけではなく、宗教学的な回答を目指しています。

分かりやすい言えば宗教があなたの生活にどうかかわりがあるかを語っているのです。あなたの人生や日々の生活に宗教的な事柄はどのように影響しているかを語っています。

もちろん浄土真宗の住職なので基本的な回答は浄土真宗の考えと絡めて回答されています。

自分がこの本を読んだよきは途中で自分の中の仏教の価値観と違うところがあったために読むのを途中でやめてしまいました。残念ながら宗派が違うと同じ仏教徒でも考え方も違いますので簡単に納得のいかないのも仕方がないということなのでしょう。

その後、この本を買って4年の月日がたち、自分もいい年齢になったと思うようになったので読みかえしてみると、不思議と自分が納得いかなかったことも受け入れるようになっていました。

この本を読めるようになるとこれが面白い。

徹宗さんの返答が新聞で連載していた紙上問答で800文字の制限の中で分かりやすくもユーモアのある説法として回答を語っています。

質問してくる相手も小学生から60歳を超えた方々が繰り出してくる多彩な質問を丁寧に返答しつつも様々な視点から答えを出し最後は投稿者に問いかけたり、語り掛けたり優しさがにじみ出る語り口で話を締めくくっています。

難しい内容があっても質問の答えを読むとテトリスの隙間を埋めた時のように”おぉ”という気持ちになります。

自分が同じような質問をしたら、この回答なら納得してしまう気分にさせる見事な回答であり、深い教養と仏教の視点から質問に宗教をどのようにとらえて考えるかを教えてくれます。

 

どんな質問がされているか簡単に取り上げてみましょう。
面白いですよ。

・仏教的に最もひどい罵りの言葉てなんですか?
・両親でそれぞれ宗旨が違うんですけどいいんですか?
・キリスト教の愛と仏教の慈悲の違いは?
・一番なまめかしいと思う仏像を教えてください。

 

などなど深刻な質問からなかなか攻めた質問まで様々な質問をユーモアと仏教としての考えなどを交えて回答している釈徹宗さんの教養とセンスに読んでいて唸ってしまいます。

仏教としての返答を真面目にしたら、そこまで面白くならなかった回答を釈徹宗さんのセンスと知恵で視点を変えて返答してくれています。

この本の中で最も面白い回答を取り上げたいと思います。
それは『お坊さん、殴られたら殴り返しますか?』この質問でしょう。

この本を購入するきっかけになったのこの質問をどう答えているかを知りたくて購入に踏み切ったという理由があります。

この答えは秘密ですが回答にはユーモアから入り、仏教徒しての考え、他宗教の考えを積み重ねていきます。積み上げられた考えの元で仏教者としての答えを出されているので

へ~、仏教ではそう考えるのか

の一言になります。

全ての仏教にかかわる人のこの本のように思ってはいません。釈徹宗さんとしての仏教の回答なのだとは思います。

質問の回答読めば釈徹宗さんが、日々仏教をどのように人に伝えるかを模索されていることが分かってきます。

機会があれば釈徹宗さんの説法を聞いてい見たいと思わせる良い本です。