「野球漫画」といえば、部員を集めて、練習して、甲子園を目指すのが王道です。
しかし、この漫画は違います。
今回紹介するのは、茶麻先生の『いにんぐ!』。
コンセプトは「制服女子×野球」ですが、肝心の野球の試合はほとんどしません。
部員不足? 関係ありません。
彼女たちがやるのは、部室での無駄話と、驚くほどクオリティの高い「プロ野球選手のモノマネ」です。
野球ガチ勢も、ゆるい日常系好きも楽しめる、異色のコメディ作品をご紹介します。

いにんぐ!
- 著者:茶麻
- 出版社:KADOKAWA(月刊少年エース連載)
- ジャンル:日常系コメディ(野球要素あり)
この記事の要点
- 1巻は部室でダベる日常系。野球を知らなくても「女子高生の会話」として楽しめます
- 往年の名選手や助っ人外国人のフォーム描写を見事に表現している
- 2巻からは「動画投稿」の要素も加わり、活動の幅(?)が広がります
あらすじ:部員3人、やることは「モノマネ」
3年生が卒業し、女子野球部に残ったのは2人だけ。
マネージャーの佐門由馬と、野球に興味のない部員・中原さくら。
そこに熱意あふれる新入生・桃貫かなえが入部しますが、人数が足りず試合なんてできません。
結局彼女たちが始めたのは、部室で野球の話をしたり、キャッチボールをしたり、そして何より「野球選手のモノマネ」をして遊ぶこと。
1巻ではそんな部室でのゆるゆるな日常が、2巻からはモノマネ動画の投稿を始める彼女たちの姿が描かれます。
感想:コアすぎる「モノマネ」の熱量
この漫画の最大の特徴は、「制服女子×野球=モノマネ」という図式です。
野球ファンへの挑戦状?
作中では、具体的な選手名は出さずにフォームや仕草だけで「誰のモノマネか」を描いています。
マサカリ投法(村田兆治)のような有名なものから、マニアックな助っ人外国人選手の仕草まであります。
野球の知識に自信がある方は漫画の中で出てくるモノマネが誰なのかをあててもらいたい。
「あ、この動き見たことある!」と分かる人にはたまらない面白さですが、答えが明かされないことも多いため、読者の野球知識が試される作りになっています。
半分くらい分かる人は、相当な野球通と言えるでしょう。
野球を知らなくても「コメディ」として読める
一方で、野球を全く知らない人には楽しめないかというと、そうではありません。
「答えのないモノマネ」も、漫画的なダイナミックな描写として迫力がありますし、何よりメインは「女子高生たちのゆるい掛け合い」です。
特に1巻は、部室でおしゃべりしているだけの純粋な日常系漫画としての側面が強いので、寝る前のちょっとした暇つぶしや、力を抜いて笑いたい時に最適です。
各話の内容メモ(ネタバレあり)
各話でどんなネタ(モノマネや日常)が扱われているかをまとめました。
タップするとリストが開きます。
第1巻:部室での日常とモノマネ
- 1:新入生の桃貫かなえが中原さくらのモノマネを見て入部する。
- 2:女子野球部、同好会になる。
- 3:佐門由馬に野球を教えようとしたら逆に教えられる。
- 4:宇野っちゃった過去からキャッチボールを嫌がる。
- 5:球場で野球を見るかテレビで野球を見るか。
- 6:バッティングセンターに行く。
- 7:WBCのニワカファンからなぜ野球ファンになったかの話。
- 8:モノマネ動画を投稿する。(※ここから動画の話題が出始める)
- 9:ボール恐怖症の克服のためのキャッチボールをする。
- 10:玉を捕るときに目をつぶっていたのを克服して玉が捕れるようになる。
- 11:モノマネ動画のファンからサインを求められる。
- 12:ヘッドスラィリング肯定派か否定派かで実際にやってみる。
- 13:女子野球部を作った先代の水田部長がたずねていく。
- 14:さくら、水田先輩に校舎裏へ連れていかれてキャッチボールをする。
- 15:中原さくら、ニックネームを欲しがる。
- 16:野球の監督について語る。
- 17:下投げのサブマリンのモノマネと体づくり。
※渡辺俊介のサブマリン投法が半ページ3コマで見事に描かれている名シーン。 - 18:モノマネ動画の収益でユニフォームを作る。
- 19:佐門由馬のための野球ポジション解説だけど逆に解説される。
第2巻:動画配信とキャラの広がり
- 20:動画の生放送でモノマネをやる。
※2018年当時でVチューバーの話題を取り入れているのは早い。 - 21:アイブラックが実際に効果があるかを実験。
- 22:かなえが野球を始めた理由とやめた理由の話。
- 23:変化球に挑戦。
- 24:野球のハードルが高くてサッカーに押されているという話。
- 25:どのゲッツー(併殺)がいいかの話し合い。
- 26:OGの鴫田悠姫が投げるフォークを捕れるキャッチャーを捕まえにいく。
- 27:キャッチャーの三野夢月を大学の正門前で捕まえる。
- 28:二人の人間関係と、三野夢月の「野球をする女子はモテない」という叫び。
- 29:マサカリ投法と癖のある選手のモノマネをする。
- 30:トレードで好きな選手か好きなチームかどちらを応援するという永遠の命題。
- 31:OGの荒石天満先輩のグラブスローを見せてもらう。
- 32:選手の背番号のお話。
- 33:野球をやらない野球漫画ついに野球やる。
- 34〜38:
まとめ:野球への愛は本物
「野球をやらない」と言いつつも、モノマネのディテールや、ふとした会話に出てくる野球ネタからは、作者の深い野球愛が伝わってきます。
野球シーズンの合間に、あるいは野球がない日の暇つぶしに。
制服女子たちが織りなす、マニアックで平和な日常を覗いてみてはいかがでしょうか。




