日経テレ東大学で紹介されていた「成田修造が14歳のときに、兄・成田悠輔からもらった読書リスト」。
ただ、YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」は閉鎖され、当時の動画は現在そのままでは確認できません。
そこで、手元に残していたメモをもとに、読書リストを“記録用”として転記します(※書名・版元などは、後から確認して適宜修正してください)。
この記事でわかること
- 成田修造が14歳のときにもらった読書リスト(全36冊)
- 動画が見られない人向けの「書名一覧」
- 気になった本を調べるための“目録”
成田悠輔から、成田修造が14歳の時にもらった読書リスト(全36冊)
1. 大西巨人『精神の氷点』(みすず書房)
終戦直後に復員した青年が、世界や人間の存在に対する虚無と葛藤を深めていく長大な連作小説。あらゆる意味を否定しようとする思考が、やがて「裁き」とも言える凶行へ向かう。タイトルの「精神の氷点」は、その冷え切っていく内面そのものを象徴している。
2. 小島信夫『抱擁家族』(講談社文庫)
離婚した夫婦と子どもたちが、奇妙な共同生活を続けるなかで露呈する関係性の歪みを描く。近代家族のあり方と、個と個の距離を執拗に掘り下げる私小説系の代表作のひとつ。
3. 田口賢司『ラヴリー』(角川書店)
日常のなかに潜む違和感や不穏さを、乾いたユーモアで切り取る作品集。読み進めるほど、世界の手触りが微妙にズレていくような残像が残る。
4. 中原昌也『マリー&フィフィーの虐殺ソングブック』(河出文庫)
暴力性と狂気を孕んだ世界観が前面に出る一冊。過激な描写と独特の文体で、人間の深層にある闇や欲望を剥き出しにする。読者を選ぶが、刺さる人には強烈に残る。
5. 森川嘉一郎『趣都の誕生』(幻冬社)
秋葉原をサブカルチャーの「聖地」として捉え、文化と経済の両面から発展の背景を分析する。オタク文化、メイド喫茶、コスプレなどの要素が、どのように街を形づくったかが見えてくる。
6. 福田恒存『人間この劇的なるもの』(中公文庫)
人間存在・社会・文化を「劇的」という視点から論じる評論集。明晰な論理と文章で、現代の息苦しさを別角度から照らしてくる。
7. 坂口安吾『堕落論』(新潮文庫)
戦後の倫理観崩壊を前に、「生きよ堕落せよ」と挑発する代表作。道徳の再建ではなく、人間が人間として生きる地点を問い直す文章として読める。
8. 柄谷行人『<戦前>の思考』(講談社学術文庫)
戦前の思想状況に焦点を当て、近代日本の矛盾や問題点を分析する論考。現在の思想状況を理解する補助線にもなる。
9. 浅田彰『<歴史の終わり>を超えて』(中公文庫)
「歴史の終わり」言説を踏まえつつ、そこから先の思考の可能性を探る評論集。現代社会を哲学・思想の視点で読み解く入口になる。
10. 蓮實重彦『スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護』(青土社)
スポーツを身体性・美学・社会性の側面から批評する意欲作。スポーツ観戦の枠を超え、運動という現象そのものを読み替えていく。
11. 吉本隆明・武井昭夫『文学者の戦争責任』(淡路書房)
戦時下における文学者の選択と責任をめぐる対談集。文学と政治、個人と社会の圧力という重い論点が含まれる。
12. 市川白弦『仏教者の戦争責任』(春秋社)
宗教と国家の関係を、仏教者の側から厳しく問い直す。信仰が社会に加担してしまう構造を考えさせられる。
13. 対馬斉『人間であるという運命』(作品社)
臨床経験を背景に、人間の葛藤や生の意味へ静かに踏み込むエッセイ集。温度のある眼差しが特徴。
14. 鎌田慧『狭山事件の真実』(草思社)
冤罪、差別、刑事司法の問題を浮き彫りにするルポ。事件の背景にある社会構造まで問い直す。
15. 田川健三『キリスト教思想への招待』(勁草書房)
聖書テキストの解釈を通して、キリスト教思想の根幹に触れる入門書。教義や歴史に留まらず現代的意味も考察する。
16. 浅見定雄『なぜカルト宗教は生まれるのか』(日本基督教団出版局)
カルト宗教の発生メカニズムを、心理・社会の両面から分析する。危険性だけでなく、惹かれる理由にも踏み込む。
17. 小室直樹『痛快!憲法学』(集英社インターナショナル)
難解になりがちな憲法を、歴史や比較の視点を交えて噛み砕く。読みやすさ重視の入門として強い。
18. 平井宜雄『法律学基礎論覚書』(有斐閣)
法律学の概念・思考法を「覚書」形式で提示する。専門寄りだが、法の考え方の地盤を固めるタイプの一冊。
19. 関曠野『民族とは何か』(講談社新書)
「民族」という概念を歴史・思想の背景から分析する。グローバル化のなかで民族が持つ意味を再検討する材料になる。
20. 遠山啓『無限と連続』(岩波新書)
数学の「無限」「連続」という難物を、歴史と直感を交えて解説する。数学の入口としても読みやすい。
21. 長谷部恭男『憲法と平和を問い直す』(ちくま新書)
平和主義をめぐる理念と現実のギャップを多角的に考察する。安全保障の議論を考える補助線になる。
22. 藪下史郎『非対称情報の経済学』(光文社新書)
市場の失敗、モラルハザード、逆選択など「情報の偏り」が生む問題を整理する。現代経済の現象理解に直結しやすい。
23. 木下源一郎『心の起源』(中公新書)
進化論的観点から「心」がどう生まれ発達したかを考察する。脳科学・認知科学などの知見も踏まえる。
24. 中田力『いち・たす・いち』(紀伊国屋書店)
脳と意識、現実認識をユニークな視点で論じる。単純な事実が複雑な認識へ変わるプロセスに触れる。
25. 苫米地英人『洗脳原論』(春秋社)
情報操作やマインドコントロールを、認知科学の観点から解説する。現代の「操作されやすさ」への防御にもつながる。
26. 吉川浩満『心脳問題』(朝日出版社)
心と脳、意識、自由意志などの論点を歴史から整理する。心脳問題の導入として読みやすい構成。
27. 岸宣仁『『異能』流出』(ダイヤモンド社)
日本の企業・研究機関から優れた人材が海外へ流出する現状を追うノンフィクション。研究力・産業競争力の論点に直結する。
28. 矢沢栄吉『成りあがり』(角川文庫)
貧しい生い立ちからトップへ至るまでの自伝的エッセイ。夢を追う強さと現実の重さが、そのまま言葉になっている。
29. エドワード・サイード『知識人とは何か』(平凡社ライブラリー)
知識人の役割と責任を論じる講演録。権力との距離、普遍的価値、批判精神といったテーマが中心。
30. アヴィナッシュ・ディキシット『戦略的思考とは何か』(TBSブリタニカ)
ゲーム理論的な「戦略思考」を、日常から政治・ビジネスまでの事例で解説する。相手の行動予測と意思決定の訓練になる。
31. ロルフ・デーゲン『フロイト先生のウソ』(文春文庫)
フロイト理論がどう形成され、どんな批判を受けてきたかを多角的に検証する。心理学史を「神話化しない」ための視点。
32. ドナルド・クヌース『コンピュータ科学者がめったに語らないこと』(SIBアクセス)
コンピュータ科学の本質、アルゴリズム、科学者の哲学などを語るエッセイ集。技術だけでなく思考の姿勢が主題になる。
33. サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮社)
350年以上未解決だった定理が証明されるまでの知のドラマを描く。数学の物語として非常に読みやすい。
34. アマルティア・セン『貧困の克服』(集英社新書)
貧困を「所得の欠如」だけでなく「潜在能力(ケイパビリティ)の欠如」として捉える。開発・福祉の議論の基礎になる。
35. ケネス・アロー『組織の限界』(岩波書店)
組織の非効率や限界を、情報・インセンティブ・意思決定の観点から分析する古典。組織論の根っこを補強するタイプ。
36. ロバート・マートン他『金融の本質』(野村総合研究所)
金融工学・リスク管理・市場の効率性などを学術的視点から論じた論文集。金融の構造理解を深めるための資料的価値が高い。
補足:このリストの使い方
- まずは書名で検索して、目次・解説・レビューを確認する
- 刺さったテーマ(戦争責任/宗教/憲法/心脳問題/経済/数学)から数冊だけ摘んで読む
- 気になった本は「版元」「新版・文庫化」などで入手しやすい版を探す
動画が見られなくなった今、せめて「書名の一覧」だけでも残しておきたい人のための記録です。誤記があれば、見つけ次第アップデートしていきます。





