「東京での暮らしに疲れた……」
「地元に帰りたいけど、仕事はあるのかな?」
そんなUターン就職のリアルな悩み(?)と、底なしの「静岡愛」を詰め込んだ4コマ漫画があります。
瀬戸口みづき先生の『ローカル女子の遠吠え』です。
2014年の連載開始から10年以上。
「静岡ネタだけでそんなに続くの?」と思うかもしれませんが、これが驚くほど面白い。
今回は、静岡県民以外も思わず笑ってしまう本作の魅力をご紹介します。

本作の読みどころ
- Uターン女子と左遷男子の「文化ギャップ」コメディ
- 「富士山」「お茶」「家康」だけじゃない! ディープすぎるローカルネタ
- 「静岡は横に長すぎる」問題を逆手に取ったキャラ配置の巧みさ
あらすじ:夢破れた女子と、左遷されたエリート
東京でデザイナーとして働いていた主人公・有野りん子。
しかし、仕事の行き詰まりと満員電車でのトラブルにより、骨と心をポッキリと折られてしまいます。
デザイナーの夢を諦め、地元の静岡にUターン就職することに。
そんな彼女の再就職先に、東京本社から左遷されてきたエリート・雲春(くもはる)。
さらに、ブラック企業で心を病み、先に地元に帰っていた同級生のハッチ。
「地元愛が強すぎる静岡県民」と「東京の感覚が抜けない余所者」が織りなす、賑やかなお仕事&日常コメディです。
感想:ネタ切れしない「静岡」の底力
2014年から連載が始まり、すでに10巻以上。
「ご当地ネタ」だけでこれほど長く続く作品は稀有ですが、読み進めていくとその理由が見えてきます。
1. 「東京」との距離感が絶妙に違うキャラクターたち
この作品が単なる「田舎万歳マンガ」ではないのは、登場人物たちが持つ「東京コンプレックス(あるいは無関心)」のバランスが絶妙だからです。
- りん子:東京に出て夢破れて戻ってきた(東京への未練と、地元の安らぎの間で揺れる)
- 雲春:東京で育ち、左遷されてきた(静岡の文化にツッコミを入れる視点)
- 水馬:一度東京に出たが、地元愛(富士山愛)に目覚めて帰ってきた
- 名々伏:今も東京本社で働いている(完全な都会視点)
全員が「ずっと地元にいる人」ではないため、4コマのオチやツッコミのバリエーションが豊富です。
「東京ではこうだったのに!」という雲春の嘆きに対し、りん子が「静岡ではこうなの!」と返す。
このパラメータの違いが、長寿連載でもマンネリ化しない関係性を生んでいます。
2. 「静岡県は横に長すぎる」という武器
巻数を重ねるごとに面白くなる理由の一つに、「静岡県の広さ(文化圏の違い)」をうまく活用している点があります。
静岡県は、江戸時代には3つの国に分かれていたほど横に広い県です。
- 西部(浜松など):愛知寄り。やらまいか精神。
- 中部(静岡市):のんびり。
- 東部(伊豆・沼津):東京寄り。
作中でも、りん子たちが勤める会社にはこの3つのエリアに拠点があり、それぞれの地域の個性を背負ったキャラクターが登場します。
「同じ静岡県民なのに話が合わない!」という県内対立すらもネタにすることで、富士山やお茶といった王道ネタだけでなく、細分化されたディープなローカルネタを掘り下げることに成功しています。
まとめ:10年続くには理由がある
「ご当地モノ」という枠組みを超えて、働く大人の悲哀や、地元の温かさを描き続けている『ローカル女子の遠吠え』。
静岡県民の方はもちろん、「地方移住」や「Uターン」という言葉に少しでも心が動く方は、ぜひ読んでみてください。
瀬戸口みづき先生、10年以上も静岡ネタ1本で戦い続けてくれてありがとうございます!




