人生最大の買い物、「マイホーム(マンション)」。
もしその契約直後に、同棲していた彼氏と別れることになったら?

今回紹介する『おんなのおしろ』は、そんな「詰んだ」状態から始まる4コマ漫画です。

手元に残ったのは、広すぎる3LDKの中古マンション。
たっぷり残った住宅ローン。
そしてなぜか、出ていった彼氏が置いていった「子猫」。

猪突猛進なアラサーOLが築く、優雅じゃないけど楽しげな「城」での生活。
派手な展開はないけれど、「こういうのが読みたかったんだよ」と唸る一冊です。

おんなのおしろ

  • 作者:辻灯子
  • 掲載誌:まんがホーム(完結済)
  • ジャンル:4コマ・猫・日常

どんな話? 成分比率は「ネコ4:元彼1」

主人公の伊沢七海は、良くも悪くも勢いのある女性です。

  • 親友に止められたけど、その弟(ダメ男)と付き合う
  • 親友に止められたけど、3LDKのマンションを買う
  • ダメ男が泣きつくから、家に置いてやる

そんな彼女もついに彼氏を追い出し、優雅な一人暮らしかと思いきや……。
元彼が置いていった子猫との共同生活が始まってしまいます。

この漫画の成分を分析すると、だいたいこんな感じです。

📊 『おんなのおしろ』成分表

  • ネコ:4(結局かわいい。主役はこっちかも)
  • 日常:3(3LDKを持て余す贅沢と寂しさ)
  • 仕事:2(同僚とのドライな絡み)
  • 元彼:1(たまに出るノイズ、でも重要)

元彼の存在感が「1」しかないのがリアルです。
未練タラタラではなく、あくまで「今の生活」がメインなのが読んでいて清々しい。

辻灯子作品は「ハズレのない優良銘柄」

作者は、4コマ漫画界の実力派・辻灯子さん。
この方の漫画は、株で言えば「長期保有したい優良銘柄」のような絶対的な安心感があります。

1話目から絵が完成されていて、読みやすい。
爆発的な派手さはない代わりに、「絶対にスベらない」という信頼感がすごい。
1巻が面白かったら、最終巻までその面白さが保証されている。
「当たり外れ」を心配せずに読めるというのは、漫画読みにとって地味ですが最大のメリットです。

「真面目 vs 不真面目」の対比がうまい

この漫画の面白さは、キャラクターの対比構造にあります。

  • プライベート:真面目な主人公 vs ちゃらんぽらんな元彼
  • 仕事場:真面目な主人公 vs 不真面目な同僚

主人公が常に「しっかりしなきゃ」と思っているからこそ、周りの適当さが際立ち、そこに笑いが生まれる。
猫漫画でありながら、人間関係の転がし方が上手いので飽きさせません。

感想:3LDKの「城」は誰のもの?

タイトルの『おんなのおしろ』。
主人公は自分だけの城を手に入れたつもりですが、読んでいくと「これ、猫の城になってない?」と思わされます。

トイレ、遊び道具、キャットタワー。
元彼への未練はなさそうなのに、彼が置いていった猫には貢いでしまう。
「広いマンションで一人と一匹」というシチュエーションが、寂しいようでいて、どこか楽しそうなのが良いんです。

個人的に好きだったのは、38ページの「共に行こう」というネタ。
この作者らしい、シュールで温度の低い笑いが詰まっていて最高でした。
ここだけでも読んでほしい。

まとめ:疲れた夜に「ダラダラ読む」贅沢

大きな事件は起きないけれど、クスッと笑えて、猫がかわいい。
女性にしか分からないネタや、猫飼い限定のネタに偏りすぎていないので、誰が読んでも楽しめます。

疲れた夜、3LDKの城で繰り広げられる「ささやかな攻防戦」を眺めてみてはいかがでしょうか。
脳を休めたい時の、最適な一冊です。