お金がなくても、工夫次第で毎日はこんなに美味しい。
食いしん坊なポルトガル娘が送る、極上の貧乏スローライフ。
今回紹介するのは、高尾じんぐ先生の『くーねるまるた』。
築70年のおんぼろアパートで、慎ましくもエンゲル係数高めな一人暮らしを満喫するマルタさんの物語だ。
紅茶チャーシュー、鶏油炒飯、パン耳タルト。
お金をかけずに手間をかける、彼女の「美味しい日々」を覗いてみよう。

作品情報
| タイトル | くーねるまるた(1) |
|---|---|
| 著者 | 高尾 じんぐ |
| 出版社 | 小学館 |
| ジャンル | グルメ / 日常 / スローライフ |
| あらすじ | ポルトガルから来たマルタ・マリア・モルテ。 彼女は貧乏だけど食いしん坊な女の子。 お金がなくても、知恵と工夫と友人たちの助けを借りて、日本の「美味しい」を食べ尽くす! |
感想:お金を「価値観の基準」にしない豊かさ
表紙を見れば分かる通り、マルタさんはよく食べる。
フライパンにお玉、ピザにラーメン、エビフライ。
見ているだけでお腹が空くようなグルメ漫画だ。
しかし、ただのグルメ漫画ではない。
本作の魅力は、「お金がないながらも幸せな生活」の描写にある。
- お金がないなら、蟹缶の代わりにザリガニを釣ればいい。
- チャーシュー麺が高くて食べられないなら、自分でチャーシューを作ればいい。
「買えないから諦める」ではなく「作って楽しむ」という発想。
お金を価値観の基準に置かず、手間暇をかけて美味しいものを食べるマルタさんの姿は、現代人が忘れかけている「生活の豊かさ」を教えてくれる。
博識なマルタと、細かい描き込み
マルタさんはただの食いしん坊ではない。
日本の大学院を出ているため、日本人よりも日本文化に詳しい「インテリ」でもある。
作中でさらりと語られる童話や文学の知識が、物語に深みを与えていて意外と楽しい。
また、作者・高尾じんぐ先生の描き込みも丁寧だ。
料理の描写はもちろん、アパートの小物や、第2話に出てくる小学生の格好など、省いてもいい部分までしっかりと描かれている点に好感が持てる。
ちなみに、第1話はいきなり「まるまる水着回」である。
スタイルのいいマルタさんを最初から惜しげもなく披露し、読者の心を鷲掴みにしてくるあたり、抜け目がない。
まとめ:真似したくなる「丁寧な暮らし」
お金がなくても、助けてくれる友達がいて、優しい近所付き合いがある。
そして、自分の好きな食事には手間を惜しまない。
登場人物はほぼ女性で、ほのぼのとした空気が流れている。
読んでいると、「あ、これ作ってみたいな」「こんな生活もいいな」と、テンションがマルタさんと一緒に上がっていく漫画だ。
なお、本作は全14巻で完結しているが、現在は続編となる『くーねるまるた ぬーぼ』も刊行されている。
さらに、同作者による『間取りはどれにする?』(建築女子のルームシェアもの)などの新作も出ているので、マルタさんの空気が好きな人は要チェックだ。





