生きていると、ふとした瞬間に強烈な不安に襲われることがあります。
「このままでいいのだろうか?」
「将来、自分はどうなってしまうのだろうか?」

そんな漠然とした不安を少しでも軽くするために必要なもの。
それは、「人生の選択肢」を増やすことです。

今回は、橘玲さんの著書『知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語』を紹介します。
お金があることによって得られる「経済的な自由」と、そのために必要な冷徹かつ現実的な「人生設計」について、改めて考えさせられる一冊です。

知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語

  • 著者:橘 玲
  • ジャンル:ビジネス・経済 / 自己啓発

この記事の要点

  • 「自由とは、人生の選択肢の数である」という明確な定義
  • 人生設計、保険、年金、不動産など、お金にまつわる8つのテーマを解説
  • 感情論ではなく、冷徹なまでの論理で「幸福」への道筋を示す

プロローグ:誰にでも訪れる「不安」の正体

本書のプロローグは、著者が運転免許試験場で警察官募集のポスターを見た瞬間、不意に強烈な不安に襲われたエピソードから始まります。

当時の著者は月収10万円、生まれたばかりの子供を抱えていました。
バブル時代の高揚感とは裏腹に、未来への見通しが立たない自身の人生設計に対する恐怖。

あなたも、20年、30年と生きていれば、ふとした瞬間に将来への不安を感じ、暗い気持ちになったことがあるのではないでしょうか。
私にはあります。

生まれた不安は雪だるま式に膨れ上がり、悪い想像を次々と生み出し、心を不幸のどん底へと突き落とします。

著者はその不安を持ち続け、考え抜いたからこそ、「経済的な自由を手に入れるためには何を考えなければならないのか?」という問いに対する答えを、本書という形で体系化できたのでしょう。

感想:自由とは「選択肢」である

本書で語られるテーマは多岐にわたります。

  • 人生設計
  • 生命保険
  • 年金
  • 医療
  • 教育
  • 不動産
  • 資産運用
  • 市場経済

これらのお金にまつわる話の中で、もっとも面白く、かつ身につまされたのが冒頭の「人生設計」の話。

日々の積み重ねが人生を作る

人生を変えたいと願う人はたくさんいます。
しかし、ただ願うだけではなく、無計画に行動して失敗する人もいます。

本書には、人生を変えるためにお金を借りてオーストラリアへ旅立ったものの、帰国後に生活が荒れ、家庭が崩壊してしまった知人の話が出てきます。

「人生は、日々の積み重ねの延長線上にある」

 

この言葉が胸に刺さります。
突然、魔法のように人生が変わることはありません。

何もしなければただ漂流するだけで、どこに辿り着くかもわからない。
日々の積み重ねこそが、目指すべき人生へと進む唯一の方法なのです。

お金がもたらす本当の価値

本書は、「これをすれば儲かる」「FIREができる」といった安易なノウハウ本ではありません。

語られているのは、お金の「使い道」よりも、今あなたが使っているお金の「使い方」に対する考え方(マインドセット)です。

著者はこう定義します。
「お金によってあなたの人生の選択肢が増えることが、自由を得るということ」

自由とはあなたの人生の選択肢の数なのだ。

 

資本主義社会において、自由(選択肢)を増やすための最も確実でわかりやすい方法は、「経済的な自由」を手に入れることです。

もちろん、お金があるからといって必ずしも幸福とは限りません。

しかし、「選択肢を持っている」という事実そのものが、心の安定と自由をもたらすことは間違いありません。

まとめ:漠然とした不安を具体化する

本書の前半「人生設計」の章では、以下の5つの物語が語られます。

  1. 幸福が続くと信じていた
  2. 旅はいつかは終わり、戻るべき家はない
  3. 人生の選択肢をいくつ持っていますか?
  4. 世界の終わりを予言する伝道師たち
  5. 正義のために生きていますか?

これらは単なる経済の話ではなく、人生をどう設計するかという哲学的な問いです。

経済的に追い詰められた人、無計画な旅に出た人、選択肢を持たない人……。

私たちが抱える「漠然とした不安」や「言語化できない焦り」は、放っておけば心の中で風化し、また忘れた頃に襲ってきます。

しかし、本書で語られる冷徹で具体的な事例に触れることで、その不安の正体を掴み、自分の人生を具体的な「設計図」として捉え直すきっかけになるはずです。

▼ 目次一覧(クリックで展開)

Introduction 運転免許試験場のポスター

PART1 The Rules of Happiness 幸福の法則

  • 人生設計 Life Planning
    • 1. 幸福が続くと信じていた
    • 2. 旅はいつかは終わり、戻るべき家はない
    • 3. 人生の選択肢をいくつ持っていますか?
    • 4. 世界の終わりを予言する伝道師たち
    • 5. 正義のために生きていますか?
  • 生命保険 Insurance
    • 6. 生命保険で愛情を証明できますか?
    • 7. 保険は損することに意味がある宝くじ
    • 8. 焼き茄子にチョコレートをかけたら
    • 9. 鴨とアヒルと生命保険
  • 年金 Pension
    • 10. 退職までに一億円貯められますか?
    • 11. 対岸の火事で自分の家に水をかける人たち
    • 12. お化け屋敷で迷子になったら
  • 医療 Medical Care
    • 13. 人間よりも動物の病院が豪華な理由
    • 14. 生命に値段がつけられないって本当ですか?
    • 15. 人生最後の数日で医療保険は破綻する
  • 教育 Education
    • 16. 教育は素晴らしいものだと信じてますか?
    • 17. 公立学校は警察のない社会
    • 18. 人はなぜ「お受験」に夢中になるのか
    • 19. マイホームと教育、どちらを優先?
  • 不動産 Real Estate
    • 20. マイホームという名の危険な投資
    • 21. ワンルームマンションの怪しい秘密
    • 22. オカルト投資法に踊る人たち
    • 23. 「箱」のために生命を捨てますか?
    • 24. 五十万円でマンションが買えるなら
    • 25. 土地真理教の呪縛から解き放たれてみよう
  • 資産運用 Investment
    • 26. 億万長者の夢なら簡単に買えますが
    • 27. 大人ははだかの王様を笑わない
    • 28. 美しい嘘と残酷な真実、どっちが好きですか?
    • 29. 投資家の仕事は損をすること
    • 30. 冷コーとアイスコーヒーと外貨預金
    • 31. 投資助言は黒魔術によく似ている
    • 32. 老後は誰もが一人の投資家
  • 市場経済 The Rules of Market
    • 33. 自分だけの刃を研ぎ澄まそう
    • 34. 国民年金未納者の主張
    • 35. 借りたお金は返さなくていいの?
    • 36. 幸福はお金で買うときはご注意ください
    • 37. 民主主義ってそんなに素晴らしい?
    • 38. 自分勝手な幸福は罪ですか?
    • 39. 自分探しの旅の終わり
    • 40. いつの日かその扉を開けてみたい

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