学生時代、自分たちとは別のグループで、最後まで交わらなかった人たちがいませんでしたか?
本来なら交わるはずのなかった二人が、ふとしたきっかけで「友達のような」関係になっていく。
そんな、むず痒くて尊い距離感を描いた漫画を読みました。

本作の読みどころ
- スクールカーストを超えた「ラブコメ一歩手前」の絶妙な距離感
- ガンシューティングゲームの構えに見る、作者のガチすぎるこだわり
- 男子高校生特有の「女子のぬくもり」に対する初々しい反応
雛野さんは友達です…?
- 著者:ICHIGAIN
- ジャンル:学園、コメディ
- 備考:Kindle Unlimited対象作品(2026年1月確認)
ラブコメ一歩手前の「寸止め」感
金髪ショートヘアで、世間で言う「カースト上位」の遊ぶの大好きな女子高生・雛野さん。
一方、男子としかつるまないゲーム大好き男子高校生・唐木くん。
本来なら交わるはずのない二人が、付き合っているのかいないのかわからない微妙な距離感で過ごす。
周囲から見たら「もう付き合ってるだろ」と言われてもおかしくないのに、本人たちはあくまで「友達(?)」の関係を崩さない。
この、踏み込みそうで踏み込まない「寸止め」のような関係性が、本作の最大の魅力である。
距離感のバグに翻弄される男子
1巻完結の作品だが、二人の距離の詰め方が非常に巧みに描かれている。
きっかけは、普段パリピな友達と過ごしている雛野さんが珍しく一人で帰ることになり、そこへ出くわした唐木くんを遊びに誘うシーンだ。
唐木くんにとっては、理由もなく誘われたことに戸惑い、必死に相手との距離を測ろうとする。
しかし、雛野さんはそんなことお構いなしに、普段の友達と同じ「ゼロ距離」で接してくるのだ。
例えば、ゲームセンターで遊んでいる時。
ゲーム中は夢中になれるが、終わった瞬間に「女子と二人きり」という現実に引き戻される唐木くん。
そこへ雛野さんは、脱いだ上着を「預かって」と渡してくる。
カースト上位女子の上着のぬくもりに、脳内処理が追いつかずいっぱいいっぱいになる唐木くんの姿は、男子校出身者ならずとも「あるある」と頷きたくなる初々しさだ。
読者としては、同級生目線で「はよ付き合え」とツッコミを入れながら読むのが正解だろう。

ガンシューティングに見る「こだわり」
個人的にグッときたのが、ゲームセンターでガンシューティングをする雛野さんの描写だ。
単にかっこいいポーズを描いているだけではない。
右肩を前に突き出して銃を構え、銃と的とのズレ(パララックス)を無くすために、右目を閉じて左目だけで照準を合わせている。
これは、実際にガンシューティングゲームをやり込んだ人でないと描けない、非常にマニアックで細かい構図だ。

視線誘導の巧みさ
このコマの絵作りが素晴らしい。
読者の視線はまず手前の銃口に行き、そこから銃身を伝って雛野さんの顔へ。
そして、閉じられた右目ではなく、狙いを定めている「左目」へと視線が動き、そのまま自然と体のライン(下方向)へと誘導されるようになっている。
一見さらっと描かれたコマだが、作者の深い知識と、読者を引き込む技術が詰まった一枚だと感じた。




