男子中学生が心の底から望む、夢のお弁当とは何か。
それは、彩り豊かなサラダでも、可愛らしいキャラ弁でもありません。
答えは一つ。
「好きなモノ(肉)だけを詰め込んだ、茶色いお弁当」です。
そんな「男の夢」を体現しているのが、なんと女の子。
今回紹介する『弁当やばいよ 水無瀬さん』は、いい大人が忘れてしまった「欲望に忠実なお弁当」を思い出させてくれる作品です。
三段重のおせちのような弁当箱に、主食のご飯と、サブにがっつりとしたお肉。
……そりゃ幸せですよ。間違いない。

弁当やばいよ 水無瀬さん 第1巻
- 作者:だーく
- 出版社:KADOKAWA / メディアファクトリー
- ジャンル:グルメ・日常コメディ
あらすじ
隣の席の女子・水無瀬さんと「お弁当友だち」になった加藤くん。
水無瀬さんのお弁当、質も量もなんだかおかしいよ…!?
ザンネン女子との弁当コメディ!(Amazonより引用)
感想:偏食グルメ漫画の極地
世の中には数多くのグルメ漫画が存在します。
可愛い女の子がご飯を美味しそうに食べる漫画だって、山ほどあります。
しかし、この漫画は一味違います。
これは、「自分の好きなモノだけを食べる偏食グルメ漫画」なのです。
ストーリーは添え物、主役は「欲望」
はっきり言って、グルメ漫画においてストーリーは二の次でも構いません。
どう食べ物と絡ませていくかが全てです。
この漫画は、珍しい料理を食べるわけでもなければ、詳細な味の解説をするわけでもありません。
ただひたすらに、「自分の食べたいものを好きなだけ入れたお弁当」を食べる漫画です。
食べているシーンに特別な演出があるわけでもないのに、読んでいると強烈に思い出されます。
中学生の頃、「こういう弁当が食べたかったんだよなぁ」というあの頃の願いが。
茶色の弁当は正義
水無瀬さんは、お肉とご飯を好きなだけ食べます。
あぁぁ、うらやましい。
学生時代のお弁当、彩りなんて気にしたくなかった。
お肉が入っていれば嬉しくて、野菜の比率が多ければテンションが下がる。
そんな純粋な気持ちを極限まで拡大解釈したのが、ヒロイン・水無瀬澪花のお弁当です。
野菜 NO!!!
残念なことに、現実世界ではお肉だけを食べて生きていくことはできません。
だからこそ、せめて漫画の中の水無瀬さんには、この漫画が完結するまで好きなお肉だけを食べていてほしい。
「人は好きなモノだけ食べてれば幸福になれる」という夢を、彼女には体現し続けてほしいのです。
水無瀬さんの「百面相」を楽しむ
この漫画の魅力は、お弁当の中身だけではありません。
水無瀬さんの表情の変化(百面相)が実に多彩で可愛いのです。
- お弁当の時間が待ちきれなくて、4時間目から勉強に集中できない顔。
- 好きな食べ物の話をして嬉しそうな顔。
- 嫌いな食べ物の話を振られ、顔の形が崩れるほどの絶望感がにじみ出る顔。
体育の後にガッツリ弁当を食べる姿や、隣の席の加藤くんとの緩い掛け合い。
日常系グルメ漫画として、これぐらい肩の力を抜いて読める作品は貴重です。
まとめ:タレの照りを見逃すな
最後に一つ。
作者紹介によると、作者のだーく先生はお肉の資料を一生懸命探して描かれているそうです。
申し訳ないことに、最初は「あー、肉だなー」としか認識せずに読んでしまいました。
しかしよく見ると、酢豚のあんかけやステーキのタレの照りなど、描写がとても丁寧です。
これから読む方は、ぜひその「シズル感」にも注目してみてください。





