正直、面白い。
料理と愛想、別々の“女子力”を求め合う二人が、努力するほどなぜか結婚から遠ざかっていくズレが可笑しい四コマだ。
ただこの面白さ、説明が意外とむずかしいタイプです。
どんな漫画か、ざっくり言うと、
- 料理という女子力がほしい女
- 愛想という女子力がほしい女
この2人が、お互いの「持ってないもの」を求めて女子力を高めようとするんだけど、
「いや、その方向で頑張っても結婚は遠いのでは……」ってところが、綺麗に笑いにされている四コマです。
舞台は静岡。作者の『ローカル女子の遠吠え』が好きな人は気になると思うんですが、
「静岡ネタ増し増しか?」と思いきや、そこは控えめ。基本は女2人の関係とボケツッコミで押してきます。

きっと愛され女子になる! (1)
- 作者:瀬戸口みづき
- 出版社:芳文社(まんがタイムコミックス)
- ジャンル:4コマ・コメディ
あらすじ
静岡東部の商店街で惣菜店を営む三十路女性・佐東さゆり。
美人だが愛嬌がなく彼氏もいない。そこへキャバ嬢の志摩が「料理を教えて」とやってくる。
理由は、好きなお客さんに手料理をふるまって落としたいから。
だが志摩は愛嬌はあるのに料理が壊滅的で、しかも惚れっぽい。
2人は“富士山級の女子力”を手に入れられるのか——という話。(Amazonより要約)
主人公2人が、致命的にダメなところが良い
- 佐東 さゆり
- 惣菜屋を切り盛りしてて料理もできる。たぶん美人。和服も似合う。
普通なら「それだけで強い」んだけど、この人は、- 愛嬌がない
- 恋愛に夢見がち
- 出会いは欲しいのに現実の動きが遅い
- 30歳=彼氏いない歴
という、絶妙な噛み合わなさ。
- 塩原 志摩
- 愛嬌があって、たぶん美人で、キャバ嬢。
ポジティブで、瞬間湯沸かし器みたいに恋をする。
ただし、- 料理がまったくできない
- 恋愛で“やったらダメ”を平然と踏む
- 重い
- その結果、男にキープ扱いされがち
救いがない。だけど、そこが面白い。
例が強い。空気が読めてないのが最高
婚活パーティーに行く回が象徴的で、
- まず「男ウケする服」に変えようとする
- でも「婚活で異性を意識した服はダメ」と言い出す
- 笑顔を作ると「般若」「魔王」扱い
- 相手の社交辞令を真に受けて惣菜屋に誘導
- 最後に「婚活パーティーに来ない男がタイプ」
読めてる。読めてるんだけど、空気が読めてない。
このズレが綺麗に回収されていくから、読んでて気持ちいいんですよね。
志摩のほうも強烈で、
好きになった男のためにお好み焼きを作って、彼女でもないのに家へ持って行ったら、
男の家に本命彼女がいる場面に遭遇して「来ちゃった」と突入する。
重い。重いです。
漫才として完成してる
この漫画、構造としてはほぼ漫才です。
- ボケる
- 必ずツッコミが入る
- しかもツッコミ役が固定じゃなくて、状況に応じて入れ替わる
さゆりの母親だったり、結婚願望ゼロの女たちだったり、キャバ嬢No.1だったり。
周囲の人間が“それぞれの性格のまま”ツッコむから、テンポが落ちない。
作者が「投げっぱなしのボケ」をしないで、丁寧に拾ってツッコミまで付けてくれる。
だから読者側が身構えなくていい。疲れない。
読み返し向きの「明るい疲労回復漫画」
内容が基本的に明るいので、
「ちょっと楽しいもの読みたい」「今日は頭使いたくない」って日にちょうどいいです。
最初に書いたとおり、2人は互いの女子力を求めてるんだけど、
年齢差(6歳差)もあって、志摩の“料理修行”はよく出る一方、さゆりの“愛想”は思い出したように出てくる。
この偏りもリアルで、貪欲さ/諦めみたいな差が笑いになってるのが上手い。
とりあえず、気になったら1巻だけでも読んでみてほしい。
疲れてるときに、何も考えずに読めるおすすめの四コマです。





