ハクメイとミコチ 1-2

ハクメイとミコチの1巻から2巻を読み直して感じたことや思ったことなどを覚書として書いたりしている。
背景と小物が細かく書かれているので文化的な面での『ハクメイとミコチ』を読むととても楽しく、そして1巻でも3,4時間ぐらい掛かるので試してみてはいかがでしょか。

  

ハクメイとミコチ 第1巻【目次と感想】

  ■□ 第1話『きのうの茜』
足下の歩き方 その1『夕焼けトンビの目撃者』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ

夕焼けトンビを探しに行く話なのだけど、さすが1話目色々なことが詰め込まれている。
見開きでの夕焼けトンビのカッコよさ、朝日を浴びて変化する色というファンタジー、それ以上に前半描かれている彼女たちの生活の空気感とハクメイとミコチの人間関係がまだ浅いことが見どころ。

夕焼けトンビが夜の空を駆ける見開きは本当にカッコいい。

■□ 第2話『ふたりの歌姫』
足下の歩き方 その2『夢品(むじな)商店の露店について』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、コンジュ

マキナタでの祭りで歌姫に選ばれるコンジュとミコチの話。
付喪神というファンタジー、この話以降はファンタジー色の強い話は格段と減る。

あとは山間にあるマキナタがどんな街なのかが1ページ目から描かれているのを見て何なのかを考えるのがとても面白い。奥に見える時計台のような建物は何なのか。大きなアーチ状の建物は何だろうか昔は門だったのかそれとも別の物だったのか。


■□ 第3話『ガラスの灯』
足下の歩き方 その3『魚の幽霊の噂』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、セン

生命を研究しているセンが登場。

センの生命の研究で動く「骨の魚」が飛び跳ねる躍動感と水飛沫がとても素晴らしいのとよく見ると骨の差かな背びれも何もかも繋がって描かれており、とにかく躍動感がすごくカッコいい。

センからもらうカワムツは15センチ程度の淡水魚でハクメイ達よりも少しだけ大きい。

一番気になるのはコラムその3での骨まっしぐらという骨の魚が食べている餌、骨なのに食べるのかとかエサが必要なのか。

■□ 第4話『星空とポンカン』
足下の歩き方 その4『ゴライアスオオツノハナムグリ』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、セン

正確には家が爆発して1夜を野宿で過ごす話。
この世界に火薬があり、それを貰って何かしているハクメイと野宿での料理に情熱を燃やすミコチが趣味人だなと思う話。とにかくP88の見開きで夜の中どう風をどう表現しているかを見てほしい。

■□ 第5話『仕事の日』
足下の歩き方 その5『親方との出会い』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、イワシ(イタチ)

ハクメイとイタチのイワシ親方とで風車を修理する話。
この話で初めてハクメイの仕事と動物型の人との絡みがある。あと出てくる山風車は小麦などを粉砕するのに使われていると思われる。漫画の中にちゃんと構造が出てくるから、それと風車での出来事で落ち込むハクメイを見て天才性と楽観的な性格を感じる落ち込み方をしているのがいい。

草鞋受け取ってからタオル掛けられるまでハクメイの目が描かない描写が素晴らしいな。

■□ 第6話『舟歌の市場』
足下の歩き方 その6『街の興(おこ)り』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、喫茶店のマスター(マヤ)

ハクメイが初めてアラビに来てミコチに案内されながらミコチの仕入れを行って財布を落とすお話。積み木市場という昔存在した九龍城のように建物をひたすら上へ上へと建て増ししている建造、数えると10階ぐらいある。

そしてミコチが寄る喫茶店、サイフォンにダッチコーヒー、熱燗用のチロリまであるとは

一番良かったコマはP149の左のカモメが飛んでいる小さなコマ、このコマで場面転換が行われていて、この話の中で最もわかりやすい場面転換な気がする。

P152の見開きで描かれる街の静寂を遠くから聞こえる歌の更に引き立ている。


■□ 第7話『仕事の日2』
足下の歩き方 その7『コンジュその後』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、コンジュ

ミコチが保存食と日用品を作る仕事をしているところにコンジュが初めて家を訪ねてくる話。ハクメイとミコチの仕事の本業がわかるのと4話ではそれほど大きく見えなかった家が実はかなり広いことが分かる。

この話で初めてハクメイが女の子だと知ったわ。

■□ 第8話『囲炉裏と博打』
足下の歩き方 その8『タコ服』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、ミマリ(吞戸屋)、シナト(吞戸屋)

雪で遭難しかけた二人は姉妹でやっている呑み屋に避難する。そこで博打をするのだけど何気に小ずるい二人に親近感を感じるのと、今時の人にサイコロ博打が分かるのだろうか。そしてハクメイ、ミコチはどこででも酒を飲んでいる気がする。
麻雀に花札など様々な賭け事が出てくる。

  

ハクメイとミコチ 第2巻【目次と感想】

■□ 第9話『ミミズクと昔話』
足下の歩き方 その9『キャラバン隊[緑尾老(りよくびろう)]』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、オロシ(フクロウ)

1巻の表紙のように食材探しの最中にオロシというフクロウに会う話。収穫している者がローズマリー、セイボリー、バジリコとハーブではあるけど野草として生命力の強いものばかりなので土地のイメージがイタリアあたりとと日本のミックスなのかなと。

良かった場面はP15のハクメイの目のハイライトが消えて恐怖と気のせいであってほしいという気持ちを抱きつつゆっくりと顔を上げているところ、本当にゆっくりと顔をあげて上を見たんだろうとイメージできる。

あとオロシは完全に風評被害。

■□ 第10話『凝り性の染め物』
足下の歩き方 その10『ミコチ・プレゼン』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、セン

ミコチがセンの服を作るお話。工業化以前は布は貴重で家庭で服を縫っていたことを考えるとあり前なのだけど、染め直しまでしているのでミコチの道楽かな。気になるのがこの服1日で完成させているのだけど、骨モチーフのデザインは無理だろ。

ストーリーよりも絵としての面白さが優先された話かなと

■□ 第11話『組合の現場』
足下の歩き方 その11『ふたりの男』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、イワシ、ナライ(会長)、カテン(副会長)

ハクメイが初めて大工組合・石貫會に行って石垣修理の手伝いをお願いする話。
手伝いを断られてイワシの道具の泥洗いを申し出るところを読んでてナイチンゲールかよとツッコミを入れたくなったのはさておいて、ハクメイがひたすら刃物を研ぐのだけど、刃先が研ぐ前と研いだ後で描き方を変えていることに手間かけてるなと思う。

■□ 第12話『大岩と飼(か)い石』
足下の歩き方 その12『石貫會(いわぬきかい)で一番怖い人』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、イワシ、
ナライ(会長)、カテン(副会長)、ハクヨ(ナライの嫁)

11話の続き、石垣の修理の話。完全にキャラクターの面白さと作者の細かいところまで描いている描写の面白さであって物語の面白さは薄い。読み込むととても面白いのだけどパラパラと読んだ人はどう思ってるのか聞きたい。

P111でハクメイが靴を履いているのがしっかりと分かったり、作業帽を取ると汗で髪の毛の下がっているなど細かいところが読んでて楽しいのとP122のナライが岩を割り、そこでハクメイの目のアップで自分が考えた案の成功と割れた瞬間に目と頬に湧き上がる感情を描いて、ズンッと割れた岩が倒れる音がするのはオオォと盛り上がる。

■□ 第13話『卵の美容師』
『卵の美容師 別の日』
足下の歩き方 その13『リモンチェッロの美味しい店』

【登場人物】
ハクメイ、ジャダ、ミコチ、コンジュ

卵のカラの美容院でハクメイが髪の毛を切ってもらう話。家やハクメイの髪型とか簡単にデザイン変えてくるのがすごいな。

ジャダが初登場なのだけど、P142の3コマ目で彼女も違う国からの旅人だったことがうかがえる帽子がある。

■□ 第14話『喫茶店とブドウパン』
足下の歩き方 その14『カフェ グリマー』

【登場人物】
ハクメイ、ミコチ、宿なしネズミ×2匹

2人で舟歌の市場のときのマスターがススメる森の中の喫茶店にピクニックをする話。
雨の中を疾走する鼠のシーンを描きたかったのかなと思わせる躍動、正面から書けば楽なのに様々な方向から描いて本当に大変そうだ。


特別編『桑酒の樽』

ミコチがやっている桑を踏みつけているのは伝統的なワインの作る製法だなと思いつつ読んだら、カラーがページごとに色の塗が違うという何とも色を付けた人の苦労が透けて見えるページ