「あの日は気づけなかった。数年後の私は、オードリーの“衝撃”に出会った」

オードリー・ヘップバーンを初めて見たのは、中学生の頃だった。
映画『ローマの休日』。しかし、当時の私の記憶に残ったのは、彼女の美貌ではなく、新聞記者役のグレゴリー・ペックが「真実の口」に手を入れて抜けないふりをする、あの有名な場面だけだった。

それから数年後、テレビCMで彼女の映像を目にした瞬間、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。
「こんなに綺麗な人が世の中にいるのか」

今回は、写真集『オードリー・ファッション物語』『アルバム オードリー・ヘップバーン』を眺めながら、なぜ彼女の魅力は60年経っても色あせないのか、その理由を考えてみたい。

アルバム オードリー・ヘップバーン
アルバム オードリー・ヘップバーン

作品情報

タイトル 写真集 オードリー・ファッション物語
アルバム オードリー・ヘップバーン
ジャンル 写真集 / ファッション
被写体 オードリー・ヘップバーン
こんな人におすすめ 普遍的なファッションを学びたい
・映画黄金期の空気に触れたい
・「品格」とは何かを知りたい

中学生には分からなかった「気品」という衝撃

昔は感じなかったのに、大人になった今は強烈に惹かれる。
それは、自分自身の成長と感性の変化があったからなのだろう。

片田舎で育った私にとって、学校や通学路ですれ違う人々の中に、オードリーのような“品格”を感じることはなかった。
比べるのはおかしいとわかっていても、彼女には単なる顔の美しさだけでは語れない、不思議な気品があったのだ。

後になって『ティファニーで朝食を』を観たとき、彼女が演じるホリー・ゴライトリーの大人びた雰囲気に驚かされた。
『ローマの休日』のあどけなさとは違う、自由に生きながらもどこか満たされない複雑さ。
同じ女優なのにこれほど表情が変わるのかと、改めて彼女の表現力に感服したのを覚えている。

『麗しのサブリナ』とイーディス・ヘッドの魔法

8年ほどの時を経て、彼女の印象は変化しているのに、なぜか変わらない“何か”がある。
それは、オードリーが生まれ持つ品格なのか、あるいはシンプルで洗練されたファッションがそう見せるのかもしれない。

多くの映画で彼女の衣装はシンプルで、過度な装飾がない。
『マイ・フェア・レディ』のような華やかなドレスも素敵だが、個人的には『麗しのサブリナ』以降のシンプルな美しさがより際立っているように感じる。

私が一番好きなのは、『麗しのサブリナ』でフランスへ行く前、ジャンパースカート姿のオードリーの写真だ。
名匠イーディス・ヘッドが衣装を手掛けたその姿は、白黒写真にも関わらず強烈な存在感を放っている。
裸足でロールス・ロイスの前に立つその表情は、まるで何かに挑むような強さを宿しており、思わずパソコンの壁紙にしたくなるほど素晴らしい。

60年経っても色あせない「オードリー」というジャンル

写真の好みでいえば、私は若い頃の歯を見せる笑顔よりも、口を閉じて少しだけ目線を外したオードリーが好きだ。
歳を重ねた写真ではその違和感も消え、むしろ柔らかい魅力が出ている。

ショートカットやまとめ髪など、当時は斬新だったはずの髪型を次々と流行させた影響力。
『ローマの休日』から60年以上経っても、広告に使われる写真を見れば、現代の若者でも一瞬で「オードリーだ」とわかる。

これほどアイコンとして定着した女優は、他にはマリリン・モンローくらいしか思い浮かばない。

まとめ:永遠に愛される「品格」

写真集を開くたび、彼女の美しさもファッションも、全く古びていないことに驚かされる。
そこにあるのは、流行を超越した、永遠に愛される人だけが持つ“品格”なのだと思う。

もしあなたが、日々の生活に少し疲れを感じているなら、彼女の写真集を開いてみてほしい。
そこには、背筋を伸ばして生きたくなるような、凛とした美しさが待っているはずだ。