大祐が倉庫と間違えて入った建物には謎の部活「ふしぎ研究部」が活動していた。ガチの催眠術、力技な手品、謎のオカルト!3人のふしぎな研究の部活に勧誘される、逃げ出そうとする大祐だが気づけば入部することに!!

生来のお人よしのためか辞められず、藁人形で操られ、バックドロップ、ストーカーの被害に催眠術、偶にラッキーエッチでパンツを見たりと何でも起こる部活ドタバタコメディ、ラッキースケベもあるよ!!

 


【あらすじ】

大原ことね、神田千晶、二宮鈴のふしぎな研究を一纏めにして存続しているふしぎ研究部、しかしこの部活を続けるためには4人の定員数が居いと存続できない。

決められた期限の中であと一人、しかしあと一人が集めることができない。時間は刻々と過ぎていく中、見るからに人のよさそうな五領大祐が倉庫を利用しているふしぎ研究部の部室に利用している倉庫に訪れる。
これはいいと考えた3人は大祐を丸め込めて入部させてしまう。大祐も目立った才能もなく、どこの部活に所属すればよいのかをなんとなく悩んでいた。

部活に所属していないためにいいように人につかわれる状態をどうにかしたいと思っているところに部活に強制的に入部させられても絶対にやめないといけない理由がないために、止まずにずるずると部活を続けるのであった。

 

【感想】

普通の人には不思議なオカルト、手品、催眠術をつかってドタバタする学園コメディ

最初の1話と2話さえ見てればどの話を見てもスムーズに読むことができるように完全に1話完型の作品ではある。

学園内での出来事は確実に積み重なっているけれども2話を読んでから5話を読んでも内容に困ることはなく、オカルト、手品、催眠術、人のいい主人公とこれだけ抑えていれば分かるようになっているからどこを読んでも笑って楽しめる。

ガチの催眠術、なんちゃって手品、不思議なオカルトに振り回される大祐の人の良さが見どころである。

作中でネタが分かりにくいモノには解説のような会話が入るので、ネタの意味などで困ることがなく、素直に笑うことができる。

ヒロインのキャラクター性も分かりやすいので、それに人のいい大祐を生贄として混ぜることでいかようにもオカルト×催眠術といった組み合わせを行うことでギャグの広がりを作っている。

学校が舞台なので4人以外の個性的なキャラクターを簡単に出すことができることも大きいい、1巻では途中から風紀委員でエッチな妄想をするというどこかで見たことがあるようなキャラであるために、読者にはすんなりと受け入れられている。

絵はには独特の影が付けられているが、キャラクターの角度によって絵が崩れるということもなく見やすく、コマの視点が上から覗き込むような視点や下から見上げるような視点と頻繁に変わっていて飽きさせない。

お色気シーンで千晶などはバックドロップをしたシーンや下から見上げるカメラワークでも下着が見えず、ことねと麗子でお色気シーンを担当しているとおもわれる。

ことねはラッキースケベ的な要素であるのに対して、麗子は自身の妄想で過激なことを行いジャンル分けがなさている。今まで作者が挑戦したことがないことではあるために少ないがそういったシーンが丁寧に描かれているので逆にエロいとは感じない。

学園という舞台のおかげで、だれしもが分かる出来事にオカルトや催眠術と言った調味料を加えて話を面白く転がしているので誰でも読んで笑うことができる。

 

【考察】

前作であるイカ娘を合わせて今回で2作目になる作者の作品。イカ娘が22巻も続き、アニメ化をするほどの人気だったために作者も高いハードルになってしまったといっている。

 

イカ娘では海の家だけあって水着キャラは沢山出ていたけれども基本的にエッチな展開や要素は皆無だった。今回の作品は学園物、お色気、男主人公といったイカ娘ではできなかった要素が詰め込まれている。

 

学校のある場所も、山の中というあまりに辺鄙な場所という設定にもなっていることから、海のネタではないところを狙っていることがうかがい知れる。

 

漫画の内容はイカ娘と同じようにコメディ、ターゲットがイカ娘を楽しんだ人や少年、青年と言った若い層を狙っている。

『あつまれ!ふしぎ研究部』を見渡すとギャグがあればそれを分かりやすくツッコミ、言葉の誘導がされており、作品がロードラマとして作られているのでどの話をいきなり読んでも困らないように作られている。

これは週間連載あることまだ始まったばかりということもある。作品が重視しているのがストーリー性ではなく1話で完結していることに重視しているからである。

読み返して見ると意外と会話が多いいことに気づく、言葉が多いとコメディとしてのテンポが死んでしまうのだが、ふしぎ!研究部では読んでいる間はそんなテンポの悪さを感じさせません。

ふしぎ!研究部はコメディ漫画としては1話が大体8ページの漫画にしては説明が多すぎるのはどうしてか?

読み返してみると、会話のほとんどは不自然にならない程度に説明のための言葉や説明の言葉とツッコミが多いいことがわかります。

これは、ふしぎ研究部のターゲットが少年からイカ娘を読んでいた読者までかなり幅広いですが、小さな子供には催眠術と言われても、分かりづらいですがそれを動き動きのないコマで説明のための言葉が入ってきます。

小さな子供がターゲットであることはすべての漢字にルビが振られていること、ギャグがあればその後のコマでギャグの説明とツッコミが入ってきます。

例として第8話で、懐中電灯が切れるシーンでコマが懐中電灯以外は黒くなっているところに「あ 懐中電灯切れた」という言葉が入ります。
このコマのあとに「何も見えない!」という懐中電灯が切れ真っ暗になった状態で慌てていることが分かるようになっています。

漫画を読みなれた読者なら、懐中電灯と真っ暗なコマを見れば今まで背景が描かれていたコマが暗くなったのだから懐中電灯が切れたんだなと自然と想像します。
そして隣のコマを見てやっぱり電気が消えて騒ぐという夜の探索の基本であると理解します。本来なら懐中電灯と真っ暗なコマは読者の目線を1秒もとどめることはないところを、「あ 懐中電灯切れた」という説明が入ることで1、2秒の停滞をさせる可能性が出てきます。

1、2秒ですがコメディ漫画は基本的に自分のテンポで読んでいますので、それだけでも違和感を残す可能性があるところを、懐中電灯が切れるということが分からない人たちへの説明を入れています。

殆ど漫画を読まない人や、コメディ漫画を読まない人に次のコマで何が起こっているのかという疑問を抱くと読み飛ばしてしまう可能性が出てきます。

そのことは読みなれた人が一瞬の違和感を持つこと以上に問題です。読み飛ばした人は『ふしぎ!研究部』の読者になる可能性が無くなります。

今までは、漫画を読みなれている人には違和感を感じさせると言ってきましたが、『ふしぎ!研究部』を文字を読まないように絵だけを見ていくだけでも十分に内容がさすることができるだけの絵に力があります。

ページをペラペラと進めていっても何が起きているのか何となくわかります。何となく流し読みをすると自然とキャラクターの吹き出し中から分かる単語を読み取っていくだけで十分に内容が分かってくるだけの絵の説明力があることを忘れてはいけません。

そのことから漫画を読みなれている読者よりも、読みなれていない人を新たな読者にしていくことがこの作品の長期連載につながることを考えると正しい構造なのではないでしょうか。


あつまれ!ふしぎ研究部 第01巻

安部真弘 (著)
出版:秋田書店

普通の高校生の身に催眠術、手品、オカルトとのふしぎ研究部に入部、呪いの人形に女の子のパンツ見たり、力業の手品の実験台にされたりとドタバタ部活コメディ漫画

 

⇒部活ドタバタコメディ漫画あつまれ!ふしぎ研究部第1巻の表紙の考察