サメマチオさんの『はつみ道楽』、賢く生きてきた女性が毎月1万7830円のお金を後押され気になったことは体験するという好奇心を満たす道楽を楽しむ漫画。

会社の特許の報奨として毎月1万7830円をもらうことが出来るようになった主人公の初美。豪遊するには少なくても何か買おうと思えば毎月1万7830円の予算は大きい。今まで賢め賢めに生きてきたと思うと、もっと愉快な感じでいいかも知れないと思い、香水、乗馬、オペラに天ぷらの専門店など今まで行ったことも体験したこともないことを体験する道楽をはじめる。

【タイトル】はつみ道楽
【作者】サメマチオ
【巻数】1(多分完結)
【年月】2019年4月
【出版】株式会社宙(おおぞら)出版

出てくる道楽
香水、乗馬、茶筒、天ぷら、薔薇、オペラ

 

【感想】

道楽とはなにか?

自分の仕事とは別に熱意を込められる趣味のことだそうだ。

落語に出てくる若旦那なら女と賭博にハマってしまうことを道楽と言われたりもするが、道楽とは仕事以外に熱中できる趣味ということだ。主人公である初美は会社との共同の特許のおかげで毎月1万7830円を給料とは別にもらえるようなったことで、

生活を買えるには足りないが好奇心を満たすには十分な過不足ない金額。香水を買ったり、乗馬を体験してみたり、天ぷら屋でコース料理を食べてみたりと生きていくには必要はないけど好奇心の対象となるような気になることを満たすようになる。

漫画は全7話中の6話はそんな道楽を楽しんでいる話ではあるが、好奇心を満たす体験をしても継続的に続けるわけではないので、趣味にはならないので道楽ではないように思えるが、彼女は1万7830円で興味を満たすという道楽している。

何か新しいことを始めるというのは、なかなかに体力のいることで始めの1歩を踏み出すためには後押しが必要なものだ。彼女は1万7830円というお金が後押しして、曖昧で気まぐれな好奇心を満すことができた。

好奇心を満たすという道楽について僕はとても共感できる。初美が体験する道楽の中で、香水とオペラ以外は同じようにやったことがある。経験をしたことがない香水とオペラも鼻炎でなければ、田舎に住んでいなければ体験していたような気がする。

人生80年とか考えるとそろそろ折返しの年齢に差し掛かっている私では気づけば日々の暮らしのルーチンワークであり、映画も新しいものよりも何度か見たことがある安心できる作品をついつい見てしまう。年を取るということはそういったことなのかも知れないが、新しいことへの挑戦は確実に減っていっている。

それでも年に数回は意識的に新しいことへの挑戦をしようとはしている。大人になると纏まった時間を作れなくなっているようなきになり、新しい趣味を持ちことも体験することも自分だけではできなくなった人の後押しとなるかもしれない漫画だ。

最近、友人が電子ピアノを購入した。話を聞くとやりたいと思ったから買ったそうだ。私は20歳前半にサックスをやりたいと思ったがそれから15年以上経っても始めていない。やろうやろうと思ってサックスを趣味にすることが出来てはいない。

貴方はどうだろうか。新しいことを始めることを先延ばししていないだろうか。

『はつみ道楽』のように毎月1万7830円入ってくるようになったら自分の趣味のため使うことができるだろうか。趣味もなく仕事だけのルーチンワークで生きていると思っている人は漫画を読みながら道楽を考えてみることもできる。

初めての体験をするのはハードルが高いものだ。それは年齢と重ねるごとに難しくなっていく。それでも旅行や友達から誘われたタイミングで今までにない体験をすることができる。

そう、キッカケがあれば新しい挑戦をするチャンスはやってくる。激レアさんというテレビ番組で、1年に10回新しい体験をすることで自分の行動に変化をつけている女性の話があった。この女性はバックギャモンというボードゲームで世界大会を優勝している。新しいことを体験することで自分に合っている経験があるかもしれない。

だからこそ新しい体験というは大切だと『はつみ道楽』のことを考えなら思う。